判旨
上告審において、原審で主張されなかった新たな事項を理由として上告することはできない。
問題の所在(論点)
事実審である原審において主張されなかった事項を、上告審において新たに主張することの可否。
規範
最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律(昭和25年法律第138号)の規定に鑑み、上告審は法律審であるから、原審において主張されなかった事実や法的主張を、新たに上告理由とすることは許されない。
重要事実
上告人が、原審(控訴審)において一度も主張していなかった留置権に関する事項を、最高裁判所への上告段階になって初めて上告理由として主張した。
あてはめ
本件において、上告人が主張する留置権に関する事項は、原審までの手続において一度も主張されていない。上告審は原審の判断の当否を審査する場であるため、原審で示されなかった新たな攻撃防御方法を提出することは、上告理由の適法性を欠くものといえる。
結論
原審において主張されなかった事項は、上告理由とすることができないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
民事訴訟における適時提出主義および法律審の性質から、控訴審までに提出されなかった新主張は、特段の事情がない限り上告審では排斥される。答案作成上は、民事訴訟法第312条(上告理由)の解釈において、審級構造に基づく主張の制限を説明する際に参照すべき。ただし、本判決文自体が極めて簡潔であるため、より具体的な判断要素については後掲の判例等と併せて検討する必要がある。
事件番号: 昭和26(オ)13 / 裁判年月日: 昭和26年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律の規定に基づき、原審の事実認定の非難や重要でない訴訟法規違反の主張は、上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の事実認定を非難し、また原審が認定していない事実を前提とした主張、および訴訟法規の違反を主張して上告を申し立てた。しか…