判旨
手形面上に記載された違約金の特約は、手形要件ではないが、直接の当事者間においては手形外の私法上の効力を有する。手形保証人は、被保証人が負担するこの違約金支払義務についても、手形法32条1項により同一の責任を負う。
問題の所在(論点)
手形面上に記載された違約金の特約の効力、および手形保証人が被保証人の負う当該違約金支払義務について責任を負うか(手形法32条1項の責任の範囲)。
規範
1. 手形面上に記載された違約金特約は、直接の当事者間においては手形外の私法上の効力を有する。2. 手形保証人は、手形法32条1項に基づき、被保証人が負担する債務(手形外の効力として発生した違約金支払義務を含む)と同一の責任を負う。
重要事実
振出人である有限会社Dは、受取人である被上告人に対し、手形面上に違約金の特約を付して手形を振り出した。上告人らは、この振出人のために手形保証を行った。その後、違約金支払義務が発生したが、上告人らは手形保証人として当該違約金の支払責任を負うか否かが争われた。
あてはめ
本件における違約金の特約は手形面上になされており、直接の当事者間(振出人と受取人)においては、その私法上の効力を否定すべき理由はない。そうであるならば、振出人は受取人に対し、手形外の効力として違約金支払義務を負う。上告人らはこの振出人を被保証人として手形保証をしており、手形法32条1項の規定に照らせば、手形保証人は被保証人と同一の責任を負うべきである。したがって、上告人らは被保証人の違約金支払義務についても同様に責任を負うと解される。
結論
手形保証人は、直接の当事者間において有効な違約金特約に基づき被保証人が負う違約金支払義務について、手形法32条1項により支払責任を負う。
実務上の射程
手形厳格主義の観点からは手形要件以外の記載は「有害な記載事項」等として議論されるが、本判例は当事者間の合意としての私法上の効力を認める。実務上は、手形保証の附随的効果が被保証人の特約債務にまで及ぶことを示す法理として活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)590 / 裁判年月日: 昭和32年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】約束手形の振出人が受取人との間の人的抗弁(特約)をもって第三者である所持人に対抗するためには、当該所持人が手形取得の当時、その特約の存在を知っている必要がある(手形法77条、17条)。 第1 事案の概要:上告人(振出人)は、受取人であるDとの間で手形に関する特定の特約を結んでいた。その後、被上告人…