判旨
当選の効力を争う訴訟において、選挙無効の事由を請求原因として主張することは本来許されないが、原審が事実上の判断を示している場合には、直ちに判決に影響を及ぼす法令違背とはならない。
問題の所在(論点)
当選の効力を争う訴訟において、選挙無効の事由を請求原因として主張することが許されるか。また、原審がこれを否定しつつ実質的な判断を行った場合に、判決に影響を及ぼす法令違背となるか。
規範
当選無効訴訟(当選の効力に関する訴訟)と選挙無効訴訟は、公職選挙法上の制度趣旨および争訟対象を異にするものである。したがって、当選の効力を争う訴訟において、選挙全体の無効事由を独立した請求原因として主張することは原則として許されない。ただし、原審が当該主張について実質的な証拠判断を行い、その当否を判断している場合には、手続上の不備があったとしても判決の結果に影響を及ぼす法令の違背があるとはいえない。
重要事実
上告人は、当選の効力を争う訴訟(当選無効訴訟)を提起したが、その中で選挙自体の無効事由を請求原因として主張した。原審は「当選の効力を争う訴訟では選挙無効の事由を請求原因として主張することは許されない」と判示した一方で、上告人が主張する個別の事実関係(所論の点)については証拠に基づきその当否を実質的に判断し、その結果を勘案して上告を棄却する判決を下した。上告人は、この原審の判断枠組みに法令の違背があるとして上告した。
あてはめ
原審が「当選の効力を争う訴訟で選挙無効事由を主張することは許されない」とした判示部分は、両訴訟の峻別を前提とする限り必ずしも正当とはいえない。しかし、原審は単に形式的に門前払いをしたわけではなく、上告人が主張した各点について証拠に基づき実質的な検討を行い、請求の当否を判断している。そうであれば、原判決の理由構成に一部不適切な点があったとしても、結論において上告人の主張を実質的に審理している以上、判決の結論を左右するような重大な法令違背は認められない。
結論
本件上告は棄却される。当選無効訴訟において選挙無効事由を主張することの可否については原審の判示に不適切な点があるが、実質的な判断がなされている以上、判決に影響を及ぼす法令違背はない。
実務上の射程
選挙訴訟における「選挙無効」と「当選無効」の峻別を確認する際、および判決理由の不備が「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背」に該当するかを検討する際の考慮要素として活用できる。答案上は、訴訟形式の選択の誤りが直ちに請求棄却に直結するか、あるいは実質的審理によって補完され得るかという文脈で言及すべきである。
事件番号: 昭和30(オ)540 / 裁判年月日: 昭和30年11月25日 / 結論: 棄却
公職選挙法施行令第三四条に「選挙人」とあるのは、投票所に投票のため来た一般選挙人を指すのであつて、投票立会人のごとき選挙事務の管理に関与する者を含まない。
事件番号: 昭和31(オ)687 / 裁判年月日: 昭和31年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙会における決定の効力は、開票の際に存在した事実上の投票状況を基礎として判断されるべきであり、事実認定に疑義がある場合には、証拠により確定された事実に従う。 第1 事案の概要:本件では、選挙会における決定の効力が争われた。具体的には、係争の投票4票が開票の際に存在したか否かが争点となり、上告人は…