判旨
売買契約の解除に伴う損害賠償について、民法上の解除としての効力が認められない場合であっても、当事者間で損害金支払に関する合意が成立している場合には、当該合意に基づき履行を請求することが認められる。
問題の所在(論点)
民法上の解除が有効でない場合であっても、当事者間に成立した「損害金支払に関する合意」を根拠として損害金の請求を認めることができるか。
規範
契約解除に伴う損害賠償請求において、法定の解除要件を充足するか否かにかかわらず、当事者間において解約に伴う損害金の支払いについて別段の合意(和解的合意等)が成立している場合には、当該合意は有効であり、その合意内容に基づき請求を基礎付けることができる。
重要事実
上告人と被上告人の間の不動産売買契約に関し、被上告人は当初、民法上の規定に基づく契約解除を主張していた。しかし、予備的に、仮に当該解除が民法上の効力を有しないとしても、昭和27年5月26日頃に売買契約解約の場合における損害金支払に関する合意が成立したと主張し、その履行を求めた。
あてはめ
記録によれば、被上告人は民法上の解除とは別に、不動産売買契約の解約時における損害金支払に関する合意の存在を明確に主張している。この合意は、法定解除の成否とは独立した当事者の意思表示の合致として看取されるため、民事訴訟法上の判決の基礎とすることができる。原審がこの合意に基づき損害賠償を認めたことは、理由齟齬等の違法には当たらない。
結論
本件当事者間に損害金支払に関する合意が成立したことが看取できる以上、当該合意に基づく請求を認めた原審の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
契約の解消をめぐる紛争において、法定解除(民法541条等)の要件充足が疑わしい場合でも、別途「解消に伴う精算合意」を主張・立証することで、請求を維持できるという実務上の予備的構成の有効性を示すものである。
事件番号: 昭和30(オ)272 / 裁判年月日: 昭和32年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】違約金の約定がある場合、民法420条3項及び1項により、それは損害賠償額の予定と推定されるため、債権者は予定された額を超えて、あるいは別途の損害賠償を請求することはできない。 第1 事案の概要:上告人と被上告人の間の契約において、違約金に関する条項(乙第2号証)が設けられていた。上告人は被上告人に…