判旨
手形法上の裏書の連続は形式的な連続を指し、実質的な連続を要しない。また、振出人は、直接の相手方ではない所持人に対し、前者が所持人に対して有する人的抗弁を対抗することはできない。
問題の所在(論点)
1. 裏書の連続に実質的な連続が必要か。2. 振出人が、受取人と所持人の間における心裡留保等の人的抗弁をもって、直接の相手方ではない所持人に対抗できるか。
規範
1. 手形法上の「裏書の連続」とは、裏書が形式的に連続していることを指し、実質的な権利移転の有無(実質的連続)を問わない。2. 手形債務者が所持人の前者に対して有する人的抗弁は、所持人がその債務者を害することを知って手形を取得した等の特段の事情がない限り、切断される。
重要事実
振出人である上告人らが発行した手形について、受取人から第三者を経由して被上告人に裏書譲渡された。上告人らは、裏書に実質的な連続がないこと、および中間者であるD組合が債務負担の意思なく裏書し、被上告人がその事実を知っていた(民法93条但書)ことを理由に、支払を拒絶した。
あてはめ
1. 本件手形の裏書譲渡の経緯において、形式上の連続が認められる以上、裏書の連続は有効である。2. 上告人らが主張する民法93条但書の抗弁は、D組合が被上告人に対してのみ主張し得る人的抗弁に過ぎない。振出人である上告人らから見れば、適法な所持人である被上告人に対して直接対抗できる手形上の抗弁とはいえない。
結論
裏書の連続は形式的連続で足り、振出人は第三者間の人的抗弁を援用して支払を拒むことはできないため、上告を棄却する。
実務上の射程
裏書の連続の意義(形式的資格授与的効力)と、人的抗弁の切断(手形法17条)の原則を確認する基本的判例である。答案上は、裏書の連続を検討する際や、第三者の抗弁(悪意の抗弁以外の人的抗弁の援用)を否定する根拠として用いる。
事件番号: 昭和39(オ)333 / 裁判年月日: 昭和40年4月1日 / 結論: 破棄差戻
約束手形の最後の被裏書人と所持人との間に裏書の連続が欠く場合において、最後の被裏書人、その裏書人および手形所持人との間で、手形を右被裏書人から裏書人に受け戻したうえこれを同人から所持人に譲渡し右所持人の委任に基づいて裏書人が右手形金を取り立てる旨の合意が成立したなど判示の事実関係のもとでは、右手形の所持について、手形上…