判旨
当事者が口頭弁論において証拠(書証)の成立を認めた場合、その成立に争いがないものとして扱われ、裁判所がこれに基づき事実認定を行っても違法とはならない。
問題の所在(論点)
当事者が口頭弁論において証拠(書証)の成立を認めた場合において、裁判所が当該証拠に基づき判断を下すことが適法か、すなわち証拠の成立に関する自白の拘束力が問題となる。
規範
民事訴訟において、当事者が相手方の提出した証拠(書証)の成立を自白(認諾)した場合には、裁判所はその証拠の真正な成立を前提として裁判の基礎にすることができ、当該証拠の成立を認めた判断に手続上の違法は存しない。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)の口頭弁論において、証拠として提出された「甲第二号証」の成立を認める旨の陳述を行っていた。しかし、上告人はその後の上告審において、当該証拠を基礎とした原判決には違法がある旨を主張して争った。
あてはめ
記録によれば、上告人は原審の口頭弁論という公開の法廷において、自ら甲第二号証の成立を認めている。このように、当事者間に争いがない事実(証拠の成立)については、裁判所はそのまま事実として採用することが可能であり、上告人が自ら認めた事項に反して原判決の違法を説くことは、民事訴訟上の信義則や自白の法理に照らして認められない。
結論
本件上告は理由がないため、棄却される。原判決に所論の違法は認められない。
実務上の射程
書証の成立を認める行為(成立認否)は、裁判所を拘束する効果を持つため、答案上は自白の法理の適用場面として整理できる。ただし、本判決は極めて簡潔なため、立証趣旨まで認めたのか、単に形式的成立のみを認めたのかについては慎重に検討する必要がある。
事件番号: 昭和33(オ)950 / 裁判年月日: 昭和36年9月21日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】判決の結果に影響を及ぼすべき重要な証拠につき、何ら判断を示さず、これと矛盾する証拠のみに基づき事実認定を行うことは、審理不尽および理由不備の違法にあたる。 第1 事案の概要:上告人(被告)が動力噴霧機を購入した際の代金につき、被上告人(原告)が保証人として合計約7万円を肩代わりして支払ったと主張し…