判旨
第一審以来、当事者が相手方の主張する請求原因事実を争っていないことが明白である場合、その事実を前提としてなされた判断に違法はない。
問題の所在(論点)
当事者が第一審から一貫して争っていない事実について、後から「争っていた」と主張して原判決の違法を問うことができるか。また、不争執の事実を前提とした判決が適法とされるための要件が問題となる。
規範
民事訴訟法における自白の法理または不争執の原則に基づき、当事者が裁判上の手続において相手方の主張する事実を争わない場合、裁判所はその事実を裁判の基礎としなければならず、これに反する事実認定を行うことは許されない。
重要事実
上告人は、第一審以来、被上告人が主張する請求原因事実について争っていなかった。しかし、上告審において上告人は「事実は争っていた」と主張し、原判決には事実認定に関する違法があるとして上告を申し立てた。
あてはめ
本件記録によれば、上告人が第一審以来、被上告人の主張する請求原因事実を争っていなかったことは明白である。したがって、上告人が当該事実を争っていたことを前提とする上告理由(原判決に違法があるとする主張)は、その前提自体が失当であるといえる。
結論
本件上告は棄却される。一貫して争われなかった事実に依拠した原判決に違法はない。
実務上の射程
弁論主義の第2テーゼ(自白の拘束力)および民訴法159条1項の不争執の扱いを再確認する事案である。答案上では、争点整理手続や弁論において争われなかった事実が、裁判所を拘束し、上告理由の前提を欠くものとして処理される根拠として活用できる。
事件番号: 昭和40(オ)801 / 裁判年月日: 昭和41年12月8日 / 結論: 棄却
一 省略(決定理由参照) 二 本件(昭和四〇年(オ)第八〇一号約束手形金請求事件)の訴訟手続受継申立に対する却下決定参照。なお本件は被上告人らの上告人会社に対する約束手形金請求事件であつて一、二審共上告人会社敗訴となり、上告となつた事案である。