判旨
当事者が相手方の主張した請求原因事実を自白した場合、裁判所はその事実を判決の基礎としなければならず、当該事実に基いてなされた請求の認容は正当である。
問題の所在(論点)
当事者が請求原因事実を自白した場合において、裁判所が当該事実を基礎として請求を認容することの是非(裁判上の自白の拘束力)。
規範
当事者が相手方の主張する事実を自白したときは、裁判所はこれを判決の基礎としなければならず(弁論主義第2テーゼ)、その自白された事実に照らして請求の当否を判断すべきである。
重要事実
上告人ら(被告)が、被上告人(原告)が主張する請求原因事実を自白した。第一審および原審(控訴審)は、この自白に基づき被上告人の請求を正当として認容する判断を下した。
あてはめ
本件において、上告人らはいずれも被上告人の請求原因事実を自白しており、裁判所に対して当該事実を争わない旨の意思表示を行ったといえる。かかる状況下では、裁判所は自白された事実と異なる事実を認定することはできず、原審が当該事実を前提に請求を認容した判断は、民事訴訟法上の原則に合致し正当であると解される。
結論
上告人らの自白に基づき請求を認容した原判決に違法はなく、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
弁論主義の適用がある事実(主要事実)についての裁判上の自白(民訴法179条参照)が成立した場合、裁判所に対する拘束力が生じることを確認する極めて簡潔な判例である。答案上は、自白の成立要件(相手方の主張と一致する自己に不利益な事実の陳述)を充足した後の効果として、裁判所の事実認定権が制約される文脈で引用する。
事件番号: 昭和35(オ)1241 / 裁判年月日: 昭和36年8月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審以来、当事者が相手方の主張する請求原因事実を争っていないことが明白である場合、その事実を前提としてなされた判断に違法はない。 第1 事案の概要:上告人は、第一審以来、被上告人が主張する請求原因事実について争っていなかった。しかし、上告審において上告人は「事実は争っていた」と主張し、原判決には…