判旨
裁判上の自白が成立した場合、その自白が錯誤に基づき、かつ、その取消しの主張立証がなされない限り、裁判所および当事者はこれに拘束される。
問題の所在(論点)
当事者が主要事実について第一審から一貫して認めていた場合、裁判上の自白が成立するか。また、その自白を後に撤回して反対の事実を主張することができるか。
規範
裁判上の自白(弁論主義第2テーゼ)が成立すると、裁判所はその事実に拘束され、これに反する事実を認定することはできない。また、当事者もこれに拘束され、自白を撤回するには、その自白が錯誤に基づくものであったことなどの特段の事情を主張立証することを要する。
重要事実
上告人(買主)が被上告人(売主)に対し、売買代金の請求等に関し訴えを提起した事案。上告人は、第一審以来、本件売買の目的物件である生甘藷合計3563俵の授受がなされた事実を認めていた。しかし、上告審において上告人は、そのうち100俵の引渡しを受けていないと主張し、事実認定の違法を訴えた。
あてはめ
上告人は第一審以来、生甘藷合計3563俵全部の授受があった事実を認めており、これは裁判上の自白に該当する。上告人がこの自白を争うためには、自白が錯誤に基づくものであり、かつ、これを取り消す旨の主張立証が必要である。本件においては、そのような主張立証が記録上見当たらないため、自白の拘束力により、100俵の引渡しを受けなかったとの新たな主張は採用し得ない。
結論
裁判上の自白が成立し、撤回の要件も満たさないため、上告人の主張は失当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
弁論主義下における裁判上の自白の拘束力(特に当事者に対する不利益変更禁止の効果)を確認した典型例である。答案上は、主要事実の有無が争点となった際、過去の弁論で認めた事実と矛盾する主張がなされた場合の排除根拠として使用する。
事件番号: 昭和34(オ)197 / 裁判年月日: 昭和36年9月8日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】裁判所が売買契約の成立を認定する場合であっても、当事者が予備的に主張した通謀虚偽表示の抗弁について判断を遺脱し、かつ証拠資料の合理的な解釈を怠ったときは、審理不尽・理由不備として破棄を免れない。 第1 事案の概要:上告人は、売買の成立を否定するとともに、仮に売買があったとしてもそれは通謀虚偽表示で…