判旨
都市計画法に基づく建築制限がある区域内の土地について、建築許可を得ずになされた賃借の申込みは、借地法(旧法)上の権利義務を生じさせる効力を有しない。
問題の所在(論点)
都市計画上の建築制限がある区域において、建築許可を得ずになされた土地の賃借の申込みが、私法上有効な契約の端緒となり得るか、あるいは法律上の効力を有するか。
規範
特定の行政法規(昭和21年勅令第389号等)により建築制限が課されている区域において、当該許可を得ずに行われた土地の賃借の申出は、私法上の効力を否定される。これは、公法上の制限を潜脱するような権利形成を認めない趣旨に基づく。
重要事実
上告人は、昭和21年10月、都市計画による区画整理施行区域内にある本件宅地について、被上告会社に対し賃借の申入れを行った。しかし、当時施行されていた「昭和21年勅令第389号」によれば、当該区域内での建築には許可が必要であったが、上告人は建築許可を得ていなかった。
あてはめ
上告人が賃借の申入れをした時点(昭和21年10月)では、既に建築制限を課す勅令が施行されており、建築許可を要する状態にあった。処理法2条1項の趣旨に照らせば、公法上の許可を欠いた状態での賃借の申出は、適法なものとして保護されるべきではない。したがって、建築許可を前提としない、あるいは許可を欠いた状態での賃借の申出は、私法上の効力を有しないと解するのが相当である。
結論
建築許可を欠く賃借の申出の効力を否定した原判決は正当であり、賃借権の発生を主張する上告人の請求は認められない。
実務上の射程
行政法規の違反が私法上の契約の効力に影響を及ぼす「強行法規性」に関する事案として整理できる。特に都市計画法等の公法上の規制が、私人間における借地契約の有効性や成立要件を否定する根拠となり得ることを示しており、法的資格や許可を前提とする契約の有効性を争う場面で活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)279 / 裁判年月日: 昭和31年10月30日 / 結論: 棄却
戦災復興土地区画整理施行地区内建築制限令による仮設建築物の建築の許可は、罹炎都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書後段にいう建物築造の許可にあたるものと解すべきである。
事件番号: 昭和30(オ)163 / 裁判年月日: 昭和33年4月25日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法施行前に強制疎開跡地の借地権を譲り受けた者については、同法第九条、第三条および第四条の適用はない
事件番号: 昭和31(オ)190 / 裁判年月日: 昭和32年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の譲受人が、当該不動産に対する賃借権の存在を知って買い受けた場合であっても、当該賃借権が対抗要件を欠いている以上、新所有者が土地の明渡しを求めることは原則として権利の濫用にあたらない。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地について賃借権を有していた。被上告人は、上告人が本件土地を占有し賃借権…