連合国軍により接収された土地については、近く接収解除となるべきことが明らかである場合を除き、罹災都市借地借家臨時処理法第九条、第三条の適用はないと解するのを相当とする。
連合国軍接収地と罹災都市借地借家臨時処理法の適用の有無。
罹災都市借地借家臨時処理法3条,罹災都市借地借家臨時処理法9条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法に基づく借地権譲渡の申出は、敷地が連合国軍に接収されている間は、接収解除が間近である等の特段の事情がない限り、有効に行うことができない。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法9条および3条に基づく借地権譲渡の申出について、対象敷地が接収中である場合に、その申出が有効に認められるか。同法の解釈が問題となる。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法9条および3条に基づく借地権譲渡の申出は、対象となる敷地が連合国軍により接収されている間は、近く接収解除となるべきことが明らかであるなどの特段の事情がない限り、有効にすることができないと解すべきである。
重要事実
罹災都市借地借家臨時処理法9条にいう疎開建物除却当時の借主(上告人)が、同法に基づき借地権者(被上告人)に対して借地権の譲渡を申し出た。しかし、当該申出がなされた当時、対象となる敷地は連合国軍によって接収されている状態であった。
あてはめ
本件において、申出当時に対象敷地は連合国軍の接収下にあった。判決文によれば、接収解除が間近であるといった事情は示されておらず、原則通り、接収継続中においては権利譲渡の申出を有効に行い得る客観的状況になかったといえる。したがって、上告人による借地権譲渡の申出は有効なものとは認められない。
結論
敷地接収中になされた借地権譲渡の申出は無効であり、上告人の請求は認められない。上告を棄却する。
実務上の射程
戦後の特殊な立法(罹災都市借地借家臨時処理法)に関する判例であり、現代の一般的な借地借家法事案に直接適用される場面は少ない。しかし、公法上の制限(接収等)によって権利の実現が客観的に不可能な期間においては、形成権の行使や意思表示の有効性を制限するという法理の現れとして理解できる。
事件番号: 昭和30(オ)163 / 裁判年月日: 昭和33年4月25日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法施行前に強制疎開跡地の借地権を譲り受けた者については、同法第九条、第三条および第四条の適用はない
事件番号: 昭和29(オ)546 / 裁判年月日: 昭和31年7月17日 / 結論: 棄却
建築基準法第五五条の適用上建物の建設が不可能な程度に狭い借地でも、これにつき罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条の適用がないものと解すべきでない。