戦災復興土地区画整理施行地区内建築制限令による仮設建築物の建築の許可は、罹炎都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書後段にいう建物築造の許可にあたるものと解すべきである。
仮設建築物の建築の許可と罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書後段にいう建物築造の許可
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項,罹災都市借地借家臨時処理法3条,戦災復興土地区画施行地区内建築制限令(昭和21年勅令389号)2条,戦災復興土地区画施行地区内建築制限令(昭和21年勅令389号)3条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項但書後段にいう「建物を築造するについての許可」には、仮設建築物の建築許可も含まれる。許可が仮設建築物に対するものであるか否かによって、同法の解釈適用上の取扱いを異にすべきではない。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項但書後段に規定される、行政庁による「建物を築造するについての許可」に、仮設建築物についての許可が含まれるか。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項但書後段の「建物を築造するについての許可」とは、行政庁による公的な建築許可を指し、その対象が恒久的な建物であるか仮設建築物であるかを区別せず、一律に同条の適用があるものと解する。
重要事実
上告人(借地権者)は、戦災都市における建築物の制限に関する勅令(後の戦災復興土地区劃整理施行地区内建築制限令)に基づき、地方長官から仮設建築物の建築許可を得たと主張して、借地権譲渡の申出の効力を争った。原審は、当該許可は同法2条1項但書後段の許可に当たらないと判示しつつ、事実認定としてそもそも地方長官の建築許可があったことを認める証拠がないとして、上告人の主張を退けた。
あてはめ
同法が定める建築許可の有無は、罹災都市における土地利用の調整という目的に照らし判断されるべきである。仮設建築物であっても、地方長官による公的な建築の許可がなされている以上、法的な取扱いの安定性の観点から、恒久的な建物に対する許可と区別して扱うべき合理的な理由は存在しない。したがって、仮設建築物の許可も同条の許可に該当すると評価される。
結論
仮設建築物の建築許可も、同法2条1項但書後段の許可に含まれる。ただし、本件では許可の存在自体が証拠上認められないため、上告は棄却される。
実務上の射程
特別法(罹災都市借地借家臨時処理法)の解釈に関する限定的な判例であるが、「行政庁の許可」の対象に仮設建築物が含まれるかという文脈で、法の目的を重視し文言を広く解釈する手法として参考になる。答案上は、建築制限下での借地権の法的性質を論じる際に、許可の種類を問わないとする本判旨の射程に留意すべきである。
事件番号: 昭和30(オ)651 / 裁判年月日: 昭和36年4月25日 / 結論: 棄却
連合国軍により接収された土地については、近く接収解除となるべきことが明らかである場合を除き、罹災都市借地借家臨時処理法第九条、第三条の適用はないと解するのを相当とする。
事件番号: 昭和29(オ)546 / 裁判年月日: 昭和31年7月17日 / 結論: 棄却
建築基準法第五五条の適用上建物の建設が不可能な程度に狭い借地でも、これにつき罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条の適用がないものと解すべきでない。