戦時罹災土地物件令附則第三項にいう「空襲其ノ他戦争ニ起因スル災害ニ因リ滅失シタル建物ノ敷地」には、疎開建物の敷地の如きを、包含しないものと解すべきである。
戦時罹災土地物件令附則第三項にいう「空襲其ノ他戦争ニ起因スル災害ニ因リ滅失シタル建物ノ敷地」の意義
戦時罹災土地物件令2条,戦時罹災土地物件令附則3項
判旨
戦時罹災土地物件令2条等にいう「空襲其ノ他戦争ニ起因スル災害ニ因リ滅失シタル建物ノ敷地」には、疎開建物の敷地は含まれない。
問題の所在(論点)
戦時罹災土地物件令2条および同法附則3項に規定される「空襲其ノ他戦争ニ起因スル災害ニ因リ滅失シタル建物ノ敷地」の範囲に、疎開建物の敷地が含まれるか。
規範
「空襲其ノ他戦争ニ起因スル災害ニ因リ滅失シタル建物ノ敷地」とは、その文言の示すとおり、空襲その他の戦争に起因する直接的な災害によって建物が滅失した土地を指すものと解すべきである。したがって、これに類する事象であっても、建物疎開(強制撤去等)の対象となった建物の敷地はこれに含まれない。
重要事実
上告人は、本件借地権が戦時罹災土地物件令2条および同法附則3項の適用を受けるものであり、被上告人に対抗できると主張した。当該土地は、空襲による直接の被災ではなく、建物疎開が行われた建物の敷地であった。
あてはめ
戦時罹災土地物件令は戦災の善後措置を講ずるための緊急措置であり、その対象は文言通り直接の災害に限定される。本件で問題となっている土地は「疎開建物の敷地」であり、空襲等の災害により直接滅失した建物の敷地ではない。したがって、同令の定める要件を充足しないと評価される。
結論
疎開建物の敷地は同令にいう「災害ニ因リ滅失シタル建物ノ敷地」には該当せず、上告人の主張は認められない。
実務上の射程
戦時特別法における用語の解釈を厳格に文言通りに行う姿勢を示したもの。罹災都市借地借家臨時処理法10条の適用についても同様の限定解釈を示唆しており、特別法による権利救済の範囲を画定する際の基準となる。
事件番号: 昭和29(オ)868 / 裁判年月日: 昭和30年12月20日 / 結論: 棄却
一 罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条の適用を受ける借地権者が同法施行後当該借地上に建物を建設しても、同条による借地権の対抗力は消滅するもの解すべきではない。 二 賃貸借の目的たる土地が駐留軍により接収されたため、賃借人に右土地を使用させる賃貸人の債務の履行が一時的に不能となつても、賃貸人は、事情の変更を理由として賃貸…
事件番号: 昭和28(オ)1089 / 裁判年月日: 昭和30年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物の敷地の範囲は、特別の事情がない限り、建物の土台外郭線や雨落線以内の土地だけでなく、建物の使用収益に必要として付随せしめられた土地や、社会通念上必要不可欠な土地を含む。 第1 事案の概要:昭和20年7月の空襲により焼失した建物Dの所有者Eが、当時、本件係争土地をその所有者Fの許諾の下で建物Dの…
事件番号: 昭和29(オ)546 / 裁判年月日: 昭和31年7月17日 / 結論: 棄却
建築基準法第五五条の適用上建物の建設が不可能な程度に狭い借地でも、これにつき罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条の適用がないものと解すべきでない。