一 罹災都市借地借家臨時処理法第一一条の定める借地権の存続期間一〇年の起算時期は、昭和二一年九月一五日として動かしえないものであつて、当該土地の使用を妨げる事由がやんだ時から起算すべきでない。 二 疎開建物の敷地には、戦時罹災土地物件令第六条は適用されない。
一 罹災都市借地借家臨時処理法第一一条の定める借地権の存続期間一〇年の起算時期 二 疎開建物の敷地と戦時罹災土地物件令第六条適用の有無
罹災都市借地借家臨時処理法11条,戦時罹災土地物件令6条,戦時罹災土地物件令3条,戦時罹災土地物件令2条
判旨
戦時中の強制疎開は罹災都市借地借家臨時処理法等にいう「災害」には該当せず、また、控訴審における請求の減縮は訴の一部取下げに当たり、その部分は初めから係属しなかったものとみなされる。
問題の所在(論点)
1. 戦時中の強制疎開が、特別法上の「災害」に該当するか。2. 控訴審における「請求の減縮」の法的性質および、その部分に対する裁判所の判断義務の有無。
規範
1. 罹災都市借地借家臨時処理法等にいう「災害」とは、空襲等の直接的な被害を指し、行政上の措置である強制疎開はこれに含まれない。2. 控訴審における請求の減縮は、訴の一部取下げ(民事訴訟法261条1項参照)の性質を有し、減縮された部分は初めから係属しなかったものとみなされ、これに対する第一審判決は効力を失う。
重要事実
上告人(第一審原告)は、強制疎開跡地について戦時罹災土地物件令6条等の適用を主張し、また被上告人らに対し借地権侵害に基づく不法行為責任を追及した。さらに、控訴審の口頭弁論期日において、上告人代理人は一部の被上告人に対する損害金請求部分を「減縮する」旨の陳述を行ったが、後にこの減縮部分について判断を示さなかった原審の違法を主張して上告した。
あてはめ
1. 強制疎開は戦争に起因する措置ではあるが、行政目的で行われたものであり、物理的な被災である「災害」とは性質を異にする。したがって、疎開跡地には関連法の適用はない。2. 上告人代理人が控訴審でなした「請求の減縮」の陳述は、実質的に訴の一部取下げである。取下げにより当該部分は遡及的に係属を失い(民訴法262条1項参照)、第一審判決の当該部分も失効するため、原審がこれについて判断を示さないのは当然である。
結論
1. 強制疎開は「災害」に該当しない。2. 請求を減縮した部分について、原審が判断を示さなかったことに違法はない。上告棄却。
実務上の射程
民事訴訟法における請求の減縮が一部取下げの性質を持つことを明示した実務上重要な判例である。答案作成上は、訴えの変更(減縮)があった場合に、裁判所が判断すべき対象(審判対象)を特定する文脈で、処分権主義の帰結として引用すべきである。
事件番号: 昭和31(オ)279 / 裁判年月日: 昭和31年10月30日 / 結論: 棄却
戦災復興土地区画整理施行地区内建築制限令による仮設建築物の建築の許可は、罹炎都市借地借家臨時処理法第二条第一項但書後段にいう建物築造の許可にあたるものと解すべきである。
事件番号: 昭和27(オ)306 / 裁判年月日: 昭和29年6月17日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基く賃借権は当然対抗力をそなえ賃借権者は、これを侵害する者に対し妨害排除を請求することができる。
事件番号: 昭和29(オ)546 / 裁判年月日: 昭和31年7月17日 / 結論: 棄却
建築基準法第五五条の適用上建物の建設が不可能な程度に狭い借地でも、これにつき罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条の適用がないものと解すべきでない。