判旨
主債務者について会社更生手続が開始・進行中であっても、保証人の保証債務の責任に影響はなく、債権者は保証人に対し即時に権利を行使できる。
問題の所在(論点)
主債務者について会社更生手続が開始されている場合、保証人の保証債務の履行責任に影響を及ぼし、債権者による直接の権利行使が制限されるか。
規範
主債務者について会社更生法による更生手続開始決定がなされ、その手続が進行中である場合であっても、保証人の負担する保証債務の責任はそれによって消長(増減や消滅)するものではない。したがって、債権者は保証人に対し、本来の債務の内容に従い、直ちにその権利を行使することが妨げられない。
重要事実
上告人(被告)は、手形上の債務を負担していた。上告人は、当該債務が保証の趣旨であると主張した上で、主債務者である訴外会社について会社更生法に基づく更生手続開始決定がなされ、現在その手続が進行中であることを理由に、被上告人(原告)による手形権利の行使を争った。なお、第一審で主張可能であった相殺の抗弁等を控訴審で提出した点について、原審は時機に後れた攻撃防御方法(民事訴訟法157条1項参照)として却下していた。
あてはめ
仮に上告人の債務が保証債務であったとしても、会社更生手続の開始は主債務者の倒産処理を目的とするものであり、別個の債務である保証債務の範囲や履行期を当然に変更させるものではない。本件において、主債務者たる訴外会社に更生手続が開始・進行中であっても、上告人の保証責任の消長を来す事由とはならないため、被上告人が手形上の権利を即時に行使することを妨げる法的障害は存在しない。また、時機に後れた抗弁の却下についても、第一審で主張可能であった事実から適法と判断される。
結論
主債務者の更生手続開始は保証人の責任に影響を与えず、債権者は保証人に対し即時に手形上の権利を行使できる。
実務上の射程
保証債務の随伴性・附従性の例外として、主債務者の更生手続(現行の会社更生法177条2項、民事再生法177条2項等)が保証人等の責任に影響しないとする原則を確認する際に活用できる。また、控訴審で初めて提出された抗弁が「時機に後れたもの」として却下される際の典型的な判断例としても参照し得る。
事件番号: 昭和34(オ)1178 / 裁判年月日: 昭和36年12月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】手形保証人が振出人(被保証人)の人的抗弁を援用し得るかという論点に対し、保証人自身が直接の当事者として同様の抗弁(輸入許可という条件の不成就)を有する場合、保証人は自己の抗弁として支払を拒絶できる。 第1 事案の概要:上告人(受取人)に対し、訴外会社(振出人)がバカスパルプの輸入許可申請に関連して…