判旨
会社更生法に基づく保全処分がなされた場合であっても、手形所持人が裏書人に対して手形法43条に基づく遡及権を行使することは妨げられない。
問題の所在(論点)
会社更生法に基づく保全処分がなされた場合、手形所持人が手形法43条に基づき裏書人に対して行う遡及権(権利行使)が制限されるか。
規範
会社更生法に基づく保全処分は、更生会社の債務支払等を一時的に制限するものであるが、当該債務について担保責任を負う裏書人の遡及義務を免除または停止させる効力までは有しない。したがって、手形所持人は手形法43条に基づき、裏書人に対し当然に遡及権を行使できる。
重要事実
手形所持人である被上告人が、手形裏書人である上告人に対し、手形法43条に基づく遡及権(担保責任の追及)を行使した。これに対し上告人は、振出人等について会社更生法に基づく保全処分がなされていることを理由に、当該遡及権の行使は阻止されるべきであると主張して争った。
あてはめ
本件において、上告人は手形の裏書人であり、手形所持人である被上告人に対して担保責任を負う立場にある。保全処分は更生手続の円滑な進行を目的とするものであり、裏書人が所持人に対して負担すべき義務を免れさせる正当な理由は存在しない。したがって、保全処分の存在は被上告人による遡及権の行使を阻止する効力を持たないと解される。
結論
保全処分があっても、手形法43条による遡及権の行使は阻止されない。
実務上の射程
更生手続開始前の保全処分段階において、主債務者(更生会社)への請求が制限されても、遡及義務者や保証人等の第三者に対する権利行使には影響を及ぼさないことを確認する実務上重要な判断である。手形訴訟における裏書人の抗弁を排斥する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)688 / 裁判年月日: 昭和36年11月24日 / 結論: 棄却
約束手形の第二裏書人丙が振出人甲の手形債務を保証する趣旨でその手形を第一裏書人乙に戻裏書したときは、乙は丙に対して償還を請求することができると解すべきである。