判旨
手形割引の法的性質について、実態に即して手形貸付(消費貸借)であると解する原審の判断を適法として維持した。
問題の所在(論点)
銀行等の金融機関が行う手形割引の法的性質が、手形の売買(民法555条参照)であるか、それとも手形を担保とした金銭の消費貸借(民法587条参照、いわゆる手形貸付)であるか。
規範
手形割引の法的性質は、形式的な名称にかかわらず、取引の具体的事態に照らして判断されるべきである。判例法理上、銀行実務における手形割引は、手形の売買ではなく、手形を担保とする金銭の貸借(手形貸付)であると解するのが通例である。
重要事実
上告人は、本件約束手形の割引が手形の売買にあたると主張して争ったが、被上告人は当該割引が手形貸付の性質を有するものであると主張した。第一審および原審は、証拠に基づき、本件手形割引を売買ではなく貸付であると認定した。
あてはめ
原審が挙示の証拠により、本件約束手形の割引を「手形売買ではなくて手形貸付である」と認定したことは、証拠に基づき十分首肯できる。上告人の主張は、実質的に原審の適法な事実認定を非難するものにすぎず、特段の事情がない限り、手形割引を貸付と捉える判断は正当であるといえる。
結論
本件手形割引は手形貸付としての性質を有する。したがって、原審の判断を不服とする上告は棄却される。
実務上の射程
手形割引を消費貸借(手形貸付)と構成することで、利息制限法の適用や、不渡り時における遡求権とは別の貸金返還請求権の発生が肯定される。答案上、手形割引に伴う附随的権利義務や制限(利息、相殺等)を論じる際の前提として活用すべき基本判例である。
事件番号: 昭和34(オ)571 / 裁判年月日: 昭和36年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】会社の目的の範囲内といえるかは、定款の記載から客観的・抽象的に判断すべきであり、特定の個人に対する手形裏書も、定款上の目的に照らし客観的に必要であり得る限り、会社の目的の範囲に属する。 第1 事案の概要:上告会社において、代表者(A2)が、特定の個人(A1)のために、A1が振り出した手形に対して会…