判旨
訴の変更の許否は裁判所の職権調査事項であり、請求の基礎に変更がある場合には、たとえ交換的変更の形式であってもその変更は許されない。
問題の所在(論点)
訴の変更において「請求の基礎に変更がない」といえるか、また、請求の基礎に変更がある場合に相手方の異議の遅滞によって変更が正当化されるか(職権調査事項の性質)。
規範
訴の変更(民事訴訟法143条1項、旧232条)が適法であるためには、請求の基礎に変更がないことが必要である。また、訴の変更の有無およびその許否は、裁判所の職権調査事項に属する。したがって、相手方が遅滞なく異議を述べなかったことによる適法化(旧255条1項本文の準用)は、請求の基礎に変更がある場合には認められない。
重要事実
上告人(原告)は、第一審において、従前の請求の趣旨および原因を全面的に変更する訴の変更(交換的変更)を行った。これに対し被上告人(被告)は、第一審の口頭弁論において訴の変更に対する異議の主張をした。第一審および原審は、この変更は請求の基礎を変更するものであるとして訴の変更を認めず、変更前の請求についてのみ判断を示したため、上告人が憲法89条違反等を理由に上告した。
あてはめ
本件における訴の変更は、従前の請求の趣旨および原因を全く変更するものであり、旧訴と新訴との間に密接な関連性や共通性が認められない。したがって、「請求の基礎に変更」があるものと解される。また、訴の変更の許否は職権調査事項であるため、被告が異議を述べるのが遅れたとしても、裁判所が自ら要件欠缺を理由に訴の変更を否定することは適法である。結果として、訴の変更を認めず変更前の請求についてのみ判断した原審の措置に違法はない。
結論
訴の変更が請求の基礎を変更するものである以上、その変更は許されず、裁判所は変更前の請求についてのみ認定判断を行えば足りる。
事件番号: 昭和31(ヤ)20 / 裁判年月日: 昭和34年1月22日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の事由(旧民訴法420条1項9号、現行338条1項9号)は、判決に影響を及ぼすべき重要事項の遺脱がある場合に認められるが、主張された事由が判決の基礎となる法的判断を左右しないことが明白であれば、再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、憲法89条および地方自治法212…
実務上の射程
訴の変更における「請求の基礎」の同一性を厳格に解した事例。実務上、交換的変更であっても、旧訴の審理資料が新訴に利用できないほど基礎を欠く場合は許容されないことを示している。また、訴の変更の要件が職権調査事項であり、相手方の応訴による瑕疵の治癒が限定的であることを論述する際に有用である。
事件番号: 昭和35(オ)60 / 裁判年月日: 昭和37年4月20日 / 結論: 棄却
続行期日における裁判官の更迭によつて弁論が更新された場合には、それ以前における裁判官の更迭についての弁論の更新がなくても、そのかしは補正される。
事件番号: 昭和35(オ)774 / 裁判年月日: 昭和38年10月1日 / 結論: 棄却
第二審口頭弁論終結後に弁論再開の申請とともに当事者参加の申出があつた場合、本来の訴訟について弁論を再開することなく、そのまま判決し、参加申出については、これを分離して却下の判決しても違法でない。
事件番号: 昭和30(オ)171 / 裁判年月日: 昭和34年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴えの交換的変更がなされた場合に、相手方が異議なく直ちに応答陳述をしたときは、変更による旧請求の消滅および新請求への移行が適法に認められる。また、予備的請求の追加時において、その基礎となる事実が既に主張・提出されており、訴訟を著しく遅延させるおそれがない場合には、訴えの変更は適法である。 第1 事…
事件番号: 昭和30(オ)444 / 裁判年月日: 昭和33年2月7日 / 結論: 棄却
一 農地買収計画に関する異議、訴願を棄却する決定、裁決があつても、村農業委員会は原計画を取り消し得ないものではない。 二 農地買収計画に耕作されていない土地が含まれていても、その面積は数坪の僅少部分であつて、それ自体独立して価値のあるものと認め難いときは、右買収計画は違法といえない。