判旨
書記官作成の送達報告書は、特段の反対資料がない限り証拠力が認められ、これに基づく事実認定は憲法32条に違反しない。
問題の所在(論点)
裁判所書記官が作成した送達報告書に基づく送達の事実認定が、適正な手続を欠き憲法32条に違反するか。また、その証拠力を否定すべき資料がない場合の認定の合理性が問われた。
規範
裁判所書記官が作成した送達報告書(民事訴訟法100条参照)の証拠力については、その公務上の性格に照らし、報告書の内容を否定するに足りる特段の反対資料が存在しない限り、記載内容に応じた事実認定の基礎とすることが許容される。
重要事実
上告人は、原判決が依拠した裁判所書記官作成の送達報告書について、その証拠力を否定すべきであり、これに基づく認定は憲法32条(裁判を受ける権利)に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件において、書記官作成の送達報告書の証拠力を否定せざるを得ない資料は存しない。したがって、原審が同報告書に基づき送達の事実を認定したことは相当であり、上告人が主張する違憲の前提は欠けている。また、民事訴訟法上の関連規定の削除等に照らしても、原判決の認定過程に違法は見られない。
結論
送達報告書の証拠力を否定すべき資料がない以上、これに基づく事実認定は正当であり、憲法32条違反には当たらない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
送達の有効性が争われる場面において、送達報告書(現在は送達に関する書面として民訴規41条等)が公文書として高い証明力を有することを確認する。答案上では、適正手続や裁判を受ける権利との関係で、送達の事実認定の合理性を論じる際の根拠として用いることができるが、本判決自体は非常に簡潔なため、基本的には公文書の証拠力に関する一般論を補強する位置付けとなる。
事件番号: 昭和30(オ)1004 / 裁判年月日: 昭和31年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審における証拠の取捨および事実認定に関する非難にとどまる場合は、適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:上告人は原審の判決を不服として上告したが、その上告理由は、原審が行った証拠の取捨および事実の認定を非難する内容であった。 第2 問題の所在(論点):事実認定に関する不服申し…