判旨
高等裁判所が上告審としてなした終局判決に対する特別上告は、憲法の解釈の誤りやその他の憲法違反がある場合に限り許容される。実質的に単なる法令違背を主張するものは、特別上告の適法な理由とは認められない。
問題の所在(論点)
高等裁判所を上告審とする終局判決に対し、どのような場合に最高裁判所への上告が認められるか。また、形式的に憲法違反を主張するが実質的に法令違背を争う場合に、適法な上告理由が存するといえるか。
規範
高等裁判所が上告審としてなした終局判決に対しては、民事訴訟法(旧法)409条の2第1項に基づき、判決に憲法の解釈の誤りその他憲法の違背があることを理由とする場合に限り、最高裁判所への上告(特別上告)が可能となる。形式的に憲法違反を主張していても、その実質が単なる法令違背の主張にすぎない場合は、適法な上告理由とはならない。
重要事実
上告人は、高等裁判所が上告審として下した終局判決に対し、最高裁判所へ上告を申し立てた。上告理由の中で公開に関する点については、原審の不公開を直接主張するものではなかった。また、その他の上告理由についても、憲法違反をいう形式をとりつつも、その具体的な内容は原判決の法令適用等の是非を争うものであった。
あてはめ
本件において、公開に関する上告理由は原審の手続不備(不公開)を直接指摘するものではなく、上告理由として不適法である。また、その他の憲法違反を主張する部分についても、実質的には単なる法令違背を主張するに帰するものと解される。憲法違反という語を用いているものの、憲法独自の解釈や適用の誤りを具体的に論じるものではないため、特別上告の適法な理由があるとはいえない。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和29(テ)9 / 裁判年月日: 昭和30年12月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が憲法違反の主張とは認められず、単に原判決を非難するにすぎない場合は、民事訴訟法(旧法)所定の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対して憲法違反を主張して上告を提起した。しかし、その具体的な主張内容は、原判決の判断を非難することに帰着するものであった。 第2 問題の…
高等裁判所が上告審となる事案(簡易裁判所が第一審の事案等)において、最高裁への特別上告の門戸は憲法問題に限定されるという厳格な要件を確認するものである。答案作成上は、単なる事実誤認や法令違背を憲法違反と「ラベル貼り」しても、最高裁の審理対象とはならないことを論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和27(テ)8 / 裁判年月日: 昭和28年10月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が上告審としてした終局判決に対する上告は、憲法違反の判断の不当を理由とする場合に限り許容される。 第1 事案の概要:上告人は、高等裁判所が上告審として下した終局判決に不服があるとして最高裁判所に上告を申し立てた。しかし、その上告理由書の内容は、原判決の憲法判断が不当であると主張するもので…
事件番号: 昭和27(オ)609 / 裁判年月日: 昭和30年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件において、上告理由が特例法に定める上告理由のいずれにも該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地が特別都市計画区域外の土地であると主張し、自身の賃借申出が有効であるとして争った。しかし、原審(および前審の…
事件番号: 昭和27(オ)393 / 裁判年月日: 昭和29年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審の訴えを提起できる事由は、民事訴訟法に列挙された事由(旧420条1項各号、現338条1項各号)に限られ、それ以外の事由による再審は認められない。一旦確定した判決の法的安定性を尊重する観点から、再審事由の規定は例示的なものではなく、限定的なものである。 第1 事案の概要:建物収去土地明渡請求訴訟…
事件番号: 昭和31(オ)289 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を非難するものにすぎない場合、民事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らが原審の事実認定を不服として上告を提起したが、上告理由の内容は、原審の証拠評価や事実認定のプロセスに対する非難を主とするものであった。 第2 問題の所在(論点):事実…