判旨
最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法上の特別抗告(現行法336条相当)に限られ、その理由は憲法違反の主張が含まれている必要がある。単なる法令解釈の誤りを争うものは憲法違反の主張とは認められず、最高裁判所に対する抗告理由として不適法である。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告(特別抗告)の適法な理由として、単なる法令解釈の誤りを憲法違反と称して主張することが認められるか。
規範
最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許容された場合に限られ、具体的には憲法違反を理由とする抗告(現行法336条の特別抗告)のみがこれに当たる。したがって、抗告理由は原決定における憲法適合性の判断の不当性を指摘するものでなければならず、単なる実体法・手続法の解釈適用の誤りを主張するものは、実質的に違憲の主張とは認められない。
重要事実
抗告人は、競落許可決定の言渡しが判決の言渡しと同様の手続で行われるべきであるという独自の解釈に基づき、原審がなした競売法および民事訴訟法の解釈適用を不当として、最高裁判所に抗告を申し立てた。抗告理由の中には憲法違反を主張する文言も含まれていた。
あてはめ
抗告人の主張は、競落許可決定の手続に関する独自の法的見解を前提とするものであり、その実質は原審の競売法や民訴法の解釈適用を争う点にある。憲法違反という語を用いていても、法解釈の是非を問うにすぎないものは、憲法違反の判断の不当性をいうものとは評価できない。よって、本件抗告理由は法が定める最高裁判所への抗告理由の要件を満たさないことが明白である。
結論
本件抗告は、適法な抗告理由を欠く不適法なものとして却下される。
実務上の射程
事件番号: 昭和29(ク)44 / 裁判年月日: 昭和29年2月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その理由は憲法判断の不当性に限定される。実質的に憲法違反を主張せず、単にその旨を称するにすぎない抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。その際、…
特別抗告の理由(憲法違反)の厳格性を説く。司法試験等の民事訴訟法・民事執行法の問題において、最高裁への不服申立ての可否を論じる際、単なる法令違反を憲法違反に引き直して主張しても適法な特別抗告の理由にはならないことを示す規範として利用できる。
事件番号: 昭和34(ク)47 / 裁判年月日: 昭和34年3月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限られる。民事事件においては、特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条)の要件を満たさない限り、最高裁判所への抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、競落許可決定における目的不動産の表示が…
事件番号: 昭和35(ク)107 / 裁判年月日: 昭和35年3月30日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られる。抗告状に具体的な主張を伴わない憲法違反の記載があるのみで、法定期間内に理由書も提出されない場合は、抗告の適法性を欠き却下される。 第1 事案の概要:抗告人は原決定に対し最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告人は…
事件番号: 昭和34(ク)27 / 裁判年月日: 昭和34年3月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許容された場合に限られ、旧民訴法419条の2(現行民訴法336条1項に相当)に規定される憲法違反等の事由がない限り、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原審の裁判について違憲を主張するとともに、その他の法令…
事件番号: 昭和25(ク)137 / 裁判年月日: 昭和25年12月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告裁判権を有するのは、法律により特に許容された場合に限られ、旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)に定める憲法判断を含む抗告のみが適法な抗告理由となる。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して民事事件の抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定におい…