判旨
最高裁判所への抗告が許されるのは、不服を申し立てることができない決定または命令に対してのみである。抵当権実行による競売申立ての却下決定は即時抗告が可能であるため、直接最高裁判所に抗告することは不適法である。
問題の所在(論点)
抵当権実行のための不動産競売申立てを却下する決定に対し、直接最高裁判所へ抗告を申し立てることの適法性。
規範
最高裁判所が抗告について裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限定される。民事事件においては、特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条1項参照)の対象となるのは「不服を申し立てることができない決定又は命令」に限られる。したがって、他の不服申立て手段が用意されている裁判に対して、直接最高裁判所へ抗告することはできない。
重要事実
抗告人は、抵当権実行のために不動産競売の申立てを行ったが、裁判所によってその申立てを却下する決定がなされた。抗告人は、この却下決定に対し、即時抗告の手続きを経ることなく、直接最高裁判所に対して本件抗告を申し立てた。
あてはめ
抵当権実行のための不動産競売申立ての却下決定については、旧民事訴訟法558条(現行の民事執行法等に相当)が準用する規定により、申立人は即時抗告による不服申立てが可能である。本件において抗告人は、この即時抗告という不服申立て手段が認められているにもかかわらず、直接最高裁判所に抗告を申し立てている。これは「不服を申し立てることができない決定」に対してのみ認められる最高裁判所への抗告の要件を満たさないものといえる。
結論
本件抗告は不適法であり、却下される。
実務上の射程
裁判に対する不服申立ての系統(通常抗告・即時抗告の可否)を確認することの重要性を示す。特別抗告(憲法違反等を理由とする抗告)は、他に不服申立ての手段がない場合に限定されるという補充性の原則を確認する際に引用し得る。
事件番号: 昭和26(ク)179 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法上の憲法適合性に関する判断を不服とする場合に限定される。したがって、憲法問題を含まない抗告理由は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が、下級審の決定を不服として最高裁判所に抗告を申し立てた事案である。本件の抗告理由は、原決定において法律、命令、規則…
事件番号: 昭和24(ク)51 / 裁判年月日: 昭和24年9月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告は、訴訟法が特別に定めた場合に限定され、憲法違反を理由とする特別抗告等の要件を満たさない限り不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、その抗告状の内容からは、原決定における憲法判断の不当性を理由とするものとは認められなかった。また、本件におい…
事件番号: 昭和26(ク)89 / 裁判年月日: 昭和26年7月23日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権をもつのは、民事事件については民訴法419条の2に定められた抗告(特別抗告)に限られ、その理由は原決定の憲法判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、原審の決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。その際、抗告理由の中で「違憲」という用語を使用してはいた…
事件番号: 昭和26(ク)7 / 裁判年月日: 昭和26年4月28日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許容された場合に限定される。民事事件においては、原決定における憲法適合性の判断の不当を理由とする特別抗告のみが認められ、その他の抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、当該抗告の理由は、原決…
事件番号: 昭和24(ク)8 / 裁判年月日: 昭和24年2月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合、または原決定における憲法判断の不当を理由とする場合に限り許容される。 第1 事案の概要:抗告人が、下級裁判所の決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告申立書および抗告理由追加申出書の内容を検討したところ、原決…