判旨
裁判所は、弁論終結後であっても、必要と認める場合には職権により口頭弁論を再開し、証人喚問等の証拠調べを行うことができる権能を有する。
問題の所在(論点)
裁判所が一旦終結した弁論を再開し、職権で当事者尋問等を行うことは、訴訟法上の裁量の範囲内として許容されるか。
規範
裁判所は、一旦口頭弁論を終結した後であっても、判決に至るまでの間に審理の不尽が認められる場合等、必要と判断したときは、職権により弁論を再開することができる(旧民訴法133条、336条、現行民訴法153条参照)。この弁論再開の判断、および再開後の職権による証拠調べの実施は、裁判所の広範な裁量(職権訴訟指揮権)に属する。
重要事実
上告人は、原審が特定の「上申書」が提出された後に口頭弁論を再開し、職権によって被上告会社の代表者を尋問したことについて、訴訟法に違反し違憲であると主張して上告した。原審は、当該上申書自体を直接の事実認定の資料としたわけではなく、手続の適正を期すために弁論を再開し、改めて尋問を実施したという経緯があった。
あてはめ
原審が所論の上申書提出後に口頭弁論を再開し、職権により被上告会社の代表者を尋問した措置は、当時の民事訴訟法(旧法133条、336条)が認める裁判所の適法な権能の行使である。記録上、原審は提出された上申書そのものを証拠資料として認定に用いた形跡はなく、あくまで再開された弁論における尋問結果に基づき判断したものと認められる。したがって、弁論再開およびその後の証拠調べの手続に違法な点は存在しない。
結論
裁判所が職権で弁論を再開し証拠調べを行うことは裁判所の権能に属し、本件の措置に違法はない。上告棄却。
実務上の射程
弁論終結後の当事者からの再開申し立てに対し、裁判所がこれを受け入れるか否かは原則として自由な裁量に属することを確認する趣旨で引用される。実務上、審理不尽を回避するための裁判所の職権行使を肯定する基礎となる判決である。
事件番号: 昭和32(オ)488 / 裁判年月日: 昭和34年3月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の再開の是非は裁判所の職権に属する事項であり、裁判所の合理的な裁量によって決定される。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人が建物の建築を開始する以前から係争地を占有していたと主張したが、原審はこれを認めなかった。上告人は、本人再尋問の却下や、結了した口頭弁論を再開しなかった原審の判断には違法…