一 控訴審で新らたに証人等の尋問申請があつた場合でも、その控訴審は、必ずしも、当該証人等を取り調べることを要しない。 二 訴訟係属中の事件について調停の申立があつたときでも、受訴裁判所は、必ずしも、調停の終了するまで訴訟手続を中止することを要しない。
一 控訴審で新たに証人等の尋問申請があつた場合と当該証人等取調の要否 二 調停の申立と訴訟手続中止の要否
民訴法379条,民事調停規則5条
判旨
控訴審において新たな証拠調べや弁論再開、あるいは調停申立てに伴う訴訟手続の中止を行うかどうかは、裁判所の裁量に属する事項である。
問題の所在(論点)
控訴審における新たな証拠調べの要否、弁論再開の申請に対する判断、および調停申立てに伴う訴訟手続中止の義務の有無が問題となる。
規範
控訴審において新たな証人等の尋問申請があった場合でも、一審の審理結果により判決をするに熟すると認めるときは、当該取調べを行わずに判決をすることが可能である。また、終結した口頭弁論の再開の是非は裁判所の裁量に属する。さらに、訴訟係属中に調停の申立てがあった場合でも、受訴裁判所は当然に訴訟手続を中止することを要しない(民事調停規則5条参照)。
重要事実
控訴審において、当事者から新たな証人等の尋問申請がなされ、また一旦終結した口頭弁論の再開申請もなされた。さらに、当該訴訟の係属中に調停の申立てが行われた。しかし、原審(控訴審)はこれらの証拠調べや弁論再開、訴訟手続の中止を行わずに判決を言い渡したため、上告人が手続上の違法を主張して上告した。
あてはめ
控訴審は続審としての性質を有するが、一審の審理結果により十分な心証が得られている場合には、新たな証人尋問を行う必要はない。本件では、原審が一審の結果により判決に熟すると判断したことは、現行控訴審制度の目的に照らし適法である。また、弁論再開は裁判所の裁量事項であり、再開しなかったことに違法はない。調停申立てについても、民事調停規則5条により訴訟手続の中止は義務付けられていないため、手続を続行したことに過誤は認められない。
結論
控訴審が新たな証拠調べや弁論再開、訴訟手続の中止を行わなかったことに違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
裁判所の訴訟指揮権および証拠採否の裁量を広く認める判例である。答案上では、控訴審における証拠調べの必要性や、裁判所の裁量逸脱・濫用の有無を検討する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)436 / 裁判年月日: 昭和39年1月28日 / 結論: 棄却
控訴審においてした請求の拡張が、その実質において附帯控訴と認めうるものであり、それに対して相手方が異議を述べず、その方式も民訴法第三七四条、第三六七条に反する点が認められない場合には、右拡張部分を認容しても、不利益変更の原則に違反しない。