判旨
原審による事実認定や証拠の取捨選択が適法に行われている限り、独自の見解に基づく事実認定の非難は上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
原審が行った証拠の取捨判断および事実認定に、上告理由となるような法的な違法(証拠無視や採証法則違反等)が存在するか。
規範
事実認定および証拠の取捨選択は、自由心証主義の下で原審の専権に属する。原判決に証拠無視、審理不尽、経験則または採証法則違反といった違法が認められない限り、適法になされた事実認定は上告裁判所を拘束する。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)における事実認定に、証拠無視、審理不尽、および経験則・採証法則違反があるとして、理由不備または理由齟齬の違法を主張し上告した。しかし、具体的な違法事由の立証は不十分であり、原審の判断を独自の見解で非難するものであった。
あてはめ
原判決が掲示する証拠を検討すると、原審の事実認定は妥当であり、適法に行われたものと認められる。上告人の主張は、原審の適法な証拠の取捨・事実認定を独自の見解に基づいて非難するにすぎず、特段の違法を基礎づける事実は見当たらない。
結論
本件事案において、原審の事実認定に違法はなく、上告理由には当たらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
民事訴訟における上告審の役割を再確認する判例。具体的事実の評価は原審の裁量であり、単なる「事実認定の誤り」の主張では上告理由として不適格であることを示す際に引用できる。
事件番号: 昭和26(オ)720 / 裁判年月日: 昭和28年3月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告人の主張は実質的に原審の証拠取捨および事実認定を争うものにすぎず、特例法上の上告理由に該当しない。原審が上告人の家屋占有を認定している以上、前提事実を異にする判例の引用は失当である。 第1 事案の概要:上告人は本件家屋の占有を否定して争ったが、原審は上告人が当該家屋を占有している旨の事実認定を…