判旨
裁判官に対する忌避申立てがあった場合、訴訟手続を停止せずに言い渡された判決は一時的に違法となるが、その後に忌避申立てを却下する決定が確定すれば、当該判決は遡及的に有効となる。
問題の所在(論点)
裁判官に対する忌避申立てによって訴訟手続を停止すべき期間中に言い渡された判決の効力、および、その後に忌避申立て却下決定が確定した場合の影響(民事訴訟法26条の解釈)。
規範
裁判官に対する忌避の申立てがあったときは、訴訟手続を停止しなければならない(民事訴訟法26条本文)。この停止規定に反してなされた裁判事務の執行は、言い渡しの時点では違法であるが、その後に忌避申立てを却下する裁判が確定した場合には、その瑕疵が治癒され、当該裁判は有効なものとなる。
重要事実
上告人は、原審(東京高等裁判所)において担当裁判官に対する忌避の申立てを行った。しかし、原審は訴訟手続を停止することなく、昭和35年11月21日に判決を言い渡した。その後、同年12月6日に忌避申立てを却下する決定がなされ、昭和36年2月2日には最高裁判所への抗告も却下され、忌避却下決定が確定した。上告人は、忌避申立て中の判決言い渡しは違法であるとして上告した。
あてはめ
本件において、原審の判決は忌避申立て後、その決定が確定する前である昭和35年11月21日に言い渡されており、民事訴訟法26条に抵触する。したがって、言渡し当時は違法な判決であったといわざるを得ない。しかし、当該忌避申立てについては、後に東京高等裁判所により申立て却下の決定がなされ、最高裁判所による抗告却下決定(昭和36年2月2日)をもって、忌避を認めない判断が確定している。このように、忌避申立て自体が理由のないものとして確定した以上、手続停止を怠った瑕疵は治癒される。
結論
忌避申立てを却下する裁判が確定したことにより、停止期間中になされた原判決は有効となったものというべきである。したがって、原判決の違法を理由とする上告は理由がない。
事件番号: 昭和39(オ)787 / 裁判年月日: 昭和40年3月11日 / 結論: 棄却
忌避申立を受けた裁判官が忌避申立についての裁判確定前になした判決は、その後右申立が理由なしとして排斥されその裁判が確定するに至つたときは、有効となるものと解するのを相当とする。
実務上の射程
民事訴訟法26条違反の裁判の効力に関するリーディングケースである。答案上は、忌避申立て中の訴訟行為は「原則として無効(または違法)」としつつも、「後に却下決定が確定した場合には有効となる(瑕疵の治癒)」という二段構えの論理を構成する際に用いる。実務上は、濫用的な忌避申立てによって判決言い渡しを遅延させることを防ぐ機能も有している。
事件番号: 昭和26(オ)361 / 裁判年月日: 昭和26年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が法令の解釈に関する重要な主張を含むものとは認められないとして上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:上告人らが提起した民事上告事件において、その上告理由の内容が審査された。具体的な事案の内容や下級審の判断につい…