判旨
裁判長が相殺の抗弁を訴訟の完結を遅延させるものと認めて却下した手続は、弁論の経過に照らし適法であり、契約の停止条件の存否については原審の事実認定が維持される。
問題の所在(論点)
裁判長による相殺の抗弁の却下手続に違法があるか、および契約に付されたとされる停止条件の存否に関する認定の適否が問題となる。
規範
民事訴訟法上、当事者が提出した攻撃防御方法であっても、それが訴訟の完結を遅延させることを目的とし、または過失により時機に後れて提出されたものと認められる場合には、裁判所はこれを却下することができる。
重要事実
上告人は原審において相殺の抗弁を提出したが、裁判長は当該抗弁が訴訟の完結を遅延せしめるものと認めて却下した。また、上告人は「Dを建物から立退かせること」を本件契約成立の条件(停止条件)であると主張したが、原審はそのような事実はないと認定した。上告人はこれらの手続の違法および事実認定の誤りを主張して上告した。
あてはめ
相殺の抗弁の却下については、原審における弁論の経過を記録に照らして検討した結果、裁判長が訴訟遅延を理由に却下した判断に違法は認められない。また、契約の条件に関する主張については、原判決が確定した事実と相反する前提に基づくものであり、単なる事実認定の争いにすぎず、適法な上告理由にはあたらない。
結論
本件上告は棄却される。相殺の抗弁の却下手続は適法であり、事実認定に関する不服は上告理由とならない。
実務上の射程
時機に後れた攻撃防御方法の却下(民訴法157条1項)に関する実務上の運用を確認する判例である。訴訟遅延の判断は弁論の全趣旨や経過に基づき、裁判所の裁量が広く認められる傾向にあることを示唆している。
事件番号: 昭和31(オ)600 / 裁判年月日: 昭和32年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事訴訟法157条1項に基づき、攻撃防御方法が重大な過失によって時機に遅れて提出され、かつ、それによって訴訟の完結を遅延させると認められる場合には、裁判所はこれを却下することができる。 第1 事案の概要:上告人は、訴訟の進行過程において特定の抗弁を提出したが、原審はこれが重大な過失により時機に遅れ…