判旨
数人が共同の不法行為により他人に損害を与えた場合、各加害者は被害者に対し、その損害全額について連帯して賠償する義務を負う。
問題の所在(論点)
数人が不動産を共同で不法占有して損害を与えた場合、その賠償義務はどのような性質の債務となるか。特に、加害者各自が損害全額について連帯債務を負うか。
規範
共同不法行為(民法719条1項)が成立する場合、各加害者は、自己の関与した範囲に限定されることなく、当該不法行為によって生じた損害の全額について、他の加害者と連帯して賠償責任を負う。
重要事実
上告人ら(A1、A2、および株式会社D)は、被上告人が権利を有する不動産を共同で不法に占有した。原審は、A1およびA2による共同不法占有、ならびにA1および株式会社Dによる共同不法占有の事実を認定し、それぞれの共同占有部分について生じた損害(賃料相当額等)の賠償を命じた。これに対し上告人らは、損害賠償金の連帯支払を命じた原判決には、認定事実の誤りや法令違反があるとして上告した。
あてはめ
本件において、上告人らは特定の不動産を共同して不法に占有している。このような共同不法占有は民法上の共同不法行為に該当する。原審が認定した「それぞれの共同不法占有部分についての損害賠償金」については、共同加害者の各々が全額の支払義務を負う連帯債務の関係に立つ。また、本件店舗の賃貸借に関しては地代家賃統制令の適用が除外されているため、認定された賃料額に基づく損害額の算定に違法はない。
結論
共同不法占有者らは、その占有部分から生じた損害について連帯債務を負う。したがって、連帯支払を命じた原判決は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
共同不法行為における「連帯」が真正連帯債務か不真正連帯債務かについては本判決では明示されていないが、実務上は不真正連帯債務として扱われる。答案作成上は、共同不法行為の成立を確認した上で、結論として「全額について連帯して(不真正連帯債務として)賠償責任を負う」と記述する際の根拠となる。
事件番号: 昭和35(オ)1149 / 裁判年月日: 昭和37年6月8日 / 結論: 棄却
正当事由に基づく家屋受渡請求事件において、被告(賃借人)先代が賃料につき提供も供託もしていないことをもつて、他人の家屋を使用する者として信義に反する旨の主張が原告(賃貸人)によつてなされ、被告が右事実を認めたが、右賃料についてはその後被告はこれを供託した旨陳述し、これに対し原告がその点を争わないと述べているときは、原告…