不動産の競落人が債務者またはその一般承継人を相手どつて提起した競落不動産引渡請求の訴は、該競落人が該不動産の占有を取得するため引渡命令を申請するこができるからといつて、訴の利益を欠くものとはいえない。
不動産の競落人が引渡命令を申請することなく競落物件の引渡を求める訴を提起した場合と訴の利益の有無。
民訴法687条,民訴法第2編第1章
判旨
不動産の競落人は、民事執行法上の引渡命令の申立てが可能な場合であっても、債務者等に対し訴えをもって明渡しを請求することができ、また、複数人が共同して不動産を不法占有する場合には、各自が連帯して損害賠償責任を負う。
問題の所在(論点)
1. 引渡命令(民事執行法上の制度)という簡易な手段がある場合に、別途明渡請求訴訟を提起することは訴えの利益を欠くか。 2. 複数人による建物の共同不法占有における損害賠償責任の性質(分割債務か連帯債務か)。
規範
1. 競落人は、強制競売手続により所有権を取得した際、執行裁判所に対し引渡命令を申請できるが、それによって債務者等に対する明渡請求訴訟の提起が禁止されるものではなく、訴えの利益は認められる。 2. 数人が共同して不動産を不法に占有し損害を及ぼしたときは、民法719条1項に基づき、各自が連帯して賠償責任を負う。
重要事実
被上告人は強制競売手続において本件土地および家屋を競落し代金を完納したが、債務者の相続人である上告人らが当該不動産を共同で占有し続け、被上告人の所有権を否定して所有権確認訴訟を提起するなどして争った。被上告人は上告人らに対し、建物の明渡しと、不法占有に基づく共同不法行為としての賃料相当損害金の支払いを求めて提訴した。
あてはめ
1. 競落人が引渡命令という執行法上の手段を有していても、占有者が所有権自体を争っている等の事情がある場合には、判決手続による権利確定の必要性があり、訴えの利益は否定されない。 2. 上告人らは共同して本件不動産を不法占有し、被上告人の使用収益を妨げて損害を与えている以上、民法719条1項にいう「共同の不法行為」に該当し、不真正連帯債務を負うものと解される。
結論
1. 競落人による明渡請求の訴えは適法である。 2. 共同不法占有者は、賃料相当損害金について各自連帯して賠償の責めに任ずる。
実務上の射程
執行法上の簡易な手段がある場合でも判決手続を選択できるという訴えの利益の一般論として、また共同占有者に対する損害賠償請求において個別計算ではなく連帯責任を追及できる根拠として実務上重要である。
事件番号: 昭和29(オ)945 / 裁判年月日: 昭和30年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数人が共同の不法行為により他人に損害を与えた場合、各加害者は被害者に対し、その損害全額について連帯して賠償する義務を負う。 第1 事案の概要:上告人ら(A1、A2、および株式会社D)は、被上告人が権利を有する不動産を共同で不法に占有した。原審は、A1およびA2による共同不法占有、ならびにA1および…