判旨
訴訟委任状の真正な成立が認められる場合、それに基づく弁護士の訴訟行為は有効であり、訴訟代理権の欠缺を理由とする上告理由は認められない。
問題の所在(論点)
旧民事訴訟法395条1項4号(現行312条2項4号に相当)の「訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をなすに必要な授権の欠缺」が認められるか、すなわち訴訟委任状の真正な成立が認められるか。
規範
訴訟代理権の有無は、訴訟委任状の記載およびそこに押印された印影の同一性等の形式的証拠力に基づき、特段の反証がない限り、真正に成立したものと認定して判断すべきである。
重要事実
上告会社は、第一審および控訴審における訴訟代理人(関口弁護士)に代理権がなかったと主張して上告した。記録上、上告会社の代表取締役D名義の訴訟委任状が提出されており、その印影は、印鑑証明下附申請書や上告状に添付された委任状の印影と同一であった。
あてはめ
本件では、一審・二審の記録に綴じられた訴訟委任状の印影が、会社代表者Dの印鑑と全く同一であることが認められる。上告人は委任状の偽造を主張するが、上申書等の資料を検討しても、印影の同一性が認められる以上、直ちに偽造と断定することは困難である。したがって、当該訴訟委任状は真正に成立したものと認められる。
結論
関口弁護士には有効な訴訟代理権が授与されていたと認められるため、訴訟代理権の欠缺があるとはいえず、上告を棄却する。
実務上の射程
訴訟代理権の存否という訴訟要件の判断において、印影の同一性という客観的事実が決定的な証拠力を持つことを示している。答案作成上は、代理権の欠缺が主張された際に、委任状の形式的成立の有無を認定する判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)571 / 裁判年月日: 昭和36年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】会社の目的の範囲内といえるかは、定款の記載から客観的・抽象的に判断すべきであり、特定の個人に対する手形裏書も、定款上の目的に照らし客観的に必要であり得る限り、会社の目的の範囲に属する。 第1 事案の概要:上告会社において、代表者(A2)が、特定の個人(A1)のために、A1が振り出した手形に対して会…