判旨
ある証拠方法が「唯一の証拠」に該当するか否かは、既に他の証拠方法(本人尋問等)によって当該事実に関する立証が試みられているかによって判断される。本人尋問等を経ている場合には、重ねて申請された証拠は唯一の証拠方法とは認められない。
問題の所在(論点)
当事者が申請した証拠が、民事訴訟法における「唯一の証拠方法」に該当するか否かの判断基準が問題となる。
規範
当事者が証明すべき事実につき、唯一の証拠方法を申し出たときは、裁判所は、それを取り調べなければならない(民事訴訟法旧259条、現181条1項参照)。ただし、当該事実について既に他の証拠方法(本人尋問等)が実施されている場合には、その証拠はもはや「唯一の証拠方法」には当たらないと解するのが相当である。
重要事実
上告人は、原審において証人申請および賃貸契約書の証拠調べを求めたが、これらが採用されなかった。しかし、当該争点に関連して、既に上告人本人の尋問が実施されており、記録(一四三丁、一四四丁)にその結果が記載されていた。
あてはめ
本件において上告人が申請した証人および賃貸契約書は、いずれも特定の事実を証明するためのものであるが、同事実については既に上告人本人尋問が実施されている。本人尋問による立証が既に行われている以上、後から申請された証拠は、当該事実を証明するための唯一の手段とはいえない。したがって、これを取り調べなかった裁判所の判断に違法はない。
結論
本件の証人申請および賃貸契約書は唯一の証拠方法とは認められず、証拠採用を却下した原審の判断は適法である。
実務上の射程
司法試験の実務上は、証拠調べの必要性(181条1項)の例外としての「唯一の証拠」の定義を確認する際に用いる。本人尋問が先行している場合に、他の証拠(書証・証人)の証拠採用を拒めるかという文脈で有効である。
事件番号: 昭和34(オ)836 / 裁判年月日: 昭和36年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物の一部が借地借家法の適用を受けるためには、その占有部分が規模、構造を考慮して独立排他性を有することを要する。 第1 事案の概要:上告人は、通常の木造二階建家屋のうち、二階の八畳間および三畳間の計二室を占有していた。当該占有部分について、旧借家法の適用がある「建物」に該当するか否かが争われた。な…