判旨
建物の一部が借地借家法の適用を受けるためには、その占有部分が規模、構造を考慮して独立排他性を有することを要する。
問題の所在(論点)
建物の一部(一室等)の賃貸借において、その占有部分が借家法(現行借地借家法)の適用対象となる「建物」に該当するための要件が問題となる。
規範
建物の一部(一室等)を目的とする賃貸借において、それが旧借家法1条(現行借地借家法1条、2条1号等参照)の適用を受けるためには、当該占有部分の規模および構造を考慮に入れ、当該部分が独立排他性を有する建物といえることが必要である。
重要事実
上告人は、通常の木造二階建家屋のうち、二階の八畳間および三畳間の計二室を占有していた。当該占有部分について、旧借家法の適用がある「建物」に該当するか否かが争われた。なお、当該建物が上告人の専用の玄関や炊事場等を備えていたか等の詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
本件占有部分は、通常の木造二階建家屋内の二階八畳間および同三畳間の二室にすぎない。このような規模および構造を考慮すれば、当該部分は建物としての独立排他性を有するものとは認められない。したがって、当該占有部分は借家法1条の適用がある「建物」には当たらないと解される。
結論
本件占有部分は独立排他性を有しないため、借家法の適用はない。
実務上の射程
建物の部分使用(ルームシェアや建物内の一室の貸借)について、借地借家法の強力な借家人保護を及ぼすべきか否かを判断する際の基準(構造上の独立性・利用上の独立性の議論の端緒)として機能する。答案上は、賃貸借の対象が「建物」と言えるかを検討する際の「独立排他性」の判断要素として引用すべき判例である。
事件番号: 昭和35(オ)1436 / 裁判年月日: 昭和36年8月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸借の目的物件に附属して賃借人が家主の同意を得て増築した建物部分は、権原に基づき附属させたものとして賃貸借の目的から除外される。また、当該部分が登記されていなくても、賃料算定の基礎から除外する判断に影響を及ぼさない。 第1 事案の概要:賃借人Dが当時の家主の同意を得て、工場の一部(11坪3合のう…