判旨
約束手形の振出人が適法な支払のための呈示を受けながら支払をしない場合、手形法上の責任に加えて、商事法定利率による遅延損害金の支払義務を負う。
問題の所在(論点)
約束手形の振出人が支払呈示を受けながら不渡りにした場合、手形法上の責任に加え、民法及び商法に基づき商事法定利率による遅延損害金を請求できるか。
規範
約束手形の振出人は、適法な支払のための呈示を受けながら支払を怠ったときは、特段の合意がない限り、民法419条及び商法514条に基づき、年6パーセントの割合による商事法定利率に従った遅延損害金の支払義務を負う。
重要事実
上告人(約束手形振出人)は、所持人から適法な支払のための呈示を受けたが、手形金の支払を行わなかった。原審は、この事実に基づき手形金の支払を命じるとともに、支払遅滞による損害賠償として商事法定利率(年6分)による損害金の支払を命じた。
あてはめ
本件において、上告人は約束手形の振出人であり、適法な支払呈示を受けたにもかかわらず手形金を支払わなかった事実が確定されている。この不履行は手形債務の履行遅滞に該当するため、民法419条1項・2項の適用がある。また、本件取引が商行為によって生じた債務であることから商法514条(当時)が適用され、商事法定利率による損害賠償義務が発生すると解される。
結論
上告人は、手形金の支払義務に加え、商事法定利率による遅延損害金の支払義務を負う。原判決の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
手形金請求訴訟において、付随的に請求する遅延損害金の根拠規定(民法419条、商法514条)を明確にした判例である。原因関係を参酌せずに手形法上の責任を肯定し、履行遅滞を認める実務処理の基礎となる。
事件番号: 昭和34(オ)921 / 裁判年月日: 昭和35年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】約束手形の所持人が、支払呈示期間内に適法な支払呈示をしたにもかかわらず支払を受けられなかった場合、振出人に対して満期以後の利息(遅延損害金)を請求できる。 第1 事案の概要:約束手形の所持人(被上告人)が、手形上の権利に基づき、支払呈示期間内に振出人(上告人)に対して支払の呈示を行った。しかし、振…