判旨
約束手形の所持人が支払呈示期間内に呈示したが支払を拒絶された場合、振出人に対し、手形金額に対する満期以降年六分の割合による利息を請求できる。
問題の所在(論点)
支払呈示期間内に呈示がなされたものの支払が拒絶された場合において、約束手形の所持人は、振出人に対して満期以後の年六分の割合による利息を請求できるか。手形法48条1項2号の適用の可否が問題となる。
規範
約束手形の振出人は、支払呈示期間内に適法な呈示がなされたにもかかわらず支払を拒絶したときは、手形法78条1項、28条2項、48条1項2号に基づき、手形金額のほか、満期の日以後の利息として年六分の割合による金額を支払う義務を負う。
重要事実
上告人は、被上告人が振り出した約束手形の所持人であった。上告人は、支払呈示期間内に当該手形の呈示を行ったが、支払を拒絶された。そのため、上告人は振出人である被上告人に対し、手形金および満期後の遅延利息相当分(年六分)の支払を求めて提訴した。
あてはめ
本件において、上告人は適法な支払呈示期間内に手形を呈示している。しかし、被上告人(振出人)によって支払が拒絶された。手形法48条1項2号は、遡求の場合の請求金額として年六分の利息を定めているが、同法78条1項により約束手形の振出人に対しても引受人と同様の義務が課され、同28条2項により引受人(振出人)に対する請求にも48条の規定が準用される。したがって、支払を拒絶した振出人は、満期以後の年六分の利息を支払うべき責任があるといえる。
結論
上告人は被上告人に対し、各手形金額に対する満期以後年六分の割合による利息を請求できる。
実務上の射程
手形法上の遅延損害金(利息)の請求根拠を明示した判例である。答案上は、民法上の法定利率(3%)ではなく、手形法48条1項2号に基づき年六分の請求が可能であることを指摘する際に活用する。主債務者である振出人に対しても、遡求の場合と同様の利率が適用されることを確認する意義がある。
事件番号: 昭和54(オ)1375 / 裁判年月日: 昭和55年3月27日 / 結論: 棄却
約束手形の支払呈示期間内に適法な呈示がなかつたときは、その後に呈示されても、振出人は、手形法所定の利息の支払義務を負わない。