約束手形の支払呈示期間内に適法な呈示がなかつたときは、その後に呈示されても、振出人は、手形法所定の利息の支払義務を負わない。
約束手形の支払呈示期間内に適法な呈示がなかつた場合と手形法所定の利息
手形法28条2項,手形法48条1項2号,手形法49条2号,手形法78条1項
判旨
約束手形の振出人は、支払呈示期間内に適法な呈示がなかったときは、その後に呈示がされたとしても、手形法所定の利息(約定利息・法定利息)の支払義務を負わない。
問題の所在(論点)
支払呈示期間内に適法な支払呈示がなされなかった場合、振出人は手形法所定の利息(手形金額に付記された利息等)の支払義務を負うか。また、呈示期間経過後の呈示によってその義務が生じるか。
規範
約束手形の所持人が支払呈示期間内に適法な呈示を怠った場合、その後に呈示を行ったとしても、手形法78条1項、28条2項、48条1項2号及び49条2号に基づく利息支払義務は発生しない。手形上の利息請求権を維持するためには、期間内の適法な支払呈示を要件とする。
重要事実
約束手形の所持人(附帯上告人)が、振出人に対して手形金及び利息を請求した事案。本件では、手形法上の支払呈示期間内に適法な支払呈示がなされず、期間経過後に呈示が行われた。原審は、期間内の呈示がなかったことを理由に利息請求を棄却したため、所持人がこれを不服として附帯上告した。また、所持人は訴訟において遅延損害金の請求は行っていなかった。
あてはめ
手形法は、遡求権の保全や利息の発生等に関し、支払呈示期間内の呈示を前提としている。本件において、所持人は支払呈示期間内に適法な呈示を行っておらず、手形法上の利息発生要件を欠いている。呈示期間経過後に呈示がなされたとしても、その事実は期間内の呈示を欠いたという効果を覆すものではないため、手形法78条1項等の規定に基づく利息の支払義務を振出人に課すことはできない。
結論
振出人は手形法所定の利息の支払義務を負わない。所持人の利息請求を棄却した原判決は正当である。
実務上の射程
手形法上の利息(手形面に記載された約定利息等)を請求する場合には期間内の呈示が不可欠である。ただし、本判決は「手形法所定の利息」について判断したものであり、民法上の債務不履行に基づく「遅延損害金」については、別途請求があれば認められる余地がある(本件では請求がなかったため判断対象外)。答案作成上は、利息と遅延損害金の区別に留意して活用すべきである。
事件番号: 昭和34(オ)1117 / 裁判年月日: 昭和36年9月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】約束手形の所持人が支払呈示期間内に呈示したが支払を拒絶された場合、振出人に対し、手形金額に対する満期以降年六分の割合による利息を請求できる。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人が振り出した約束手形の所持人であった。上告人は、支払呈示期間内に当該手形の呈示を行ったが、支払を拒絶された。そのため、上…