判旨
白地手形の所持人が白地部分を有効に補充した上で、口頭弁論期日において振出人に手形を呈示した場合、主債務者に対する請求として有効であり、呈示後の手形法所定の利息を含めた支払請求が認められる。
問題の所在(論点)
白地手形の補充後に口頭弁論期日において行われた手形の呈示が、主債務者たる振出人に対する手形金および利息の請求として有効な呈示といえるか。
規範
白地手形の所持人は、白地部分を有効に補充した上で、手形の主債務者である振出人に対し、訴訟上の呈示(口頭弁論期日における呈示)をもって手形金および呈示以後の手形法所定の利息を請求することができる。この場合、遡及権行使のための呈示期間等の制限は適用されない。
重要事実
被上告人(原告)は、上告人(被告)が振り出した白地部分のある約束手形を所持していた。被上告人は、当該白地部分を有効に補充した上で、上告人に対し手形金の支払を求めて提訴した。被上告人は、本案の口頭弁論期日において、主債務者である上告人に対し補充済みの本件手形を現実に呈示した。
あてはめ
本件請求は遡及義務者に対する遡及権行使ではなく、手形の主債務者である振出人に対する請求である。被上告人は、手形の白地部分を有効に補充した上で、口頭弁論期日において手形を現実に呈示している。主債務者に対する手形権利の行使において、訴訟上での呈示は有効な履行の催告として機能するため、呈示時からの遅延損害金(手形法所定の利息)の発生も認められる。
結論
主債務者に対する手形金の請求および呈示以後の利息の請求は認められる。上告(被告の主張)は棄却される。
実務上の射程
主債務者(振出人・引受人)に対する請求においては、遡及権保全のための呈示期間制限(手形法38条等)を受けないことを再確認する事例である。訴状の送達だけでは呈示に欠けるが、口頭弁論期日での呈示により利息発生の要件を満たすという実務上の処理を肯定している。
事件番号: 昭和37(オ)1154 / 裁判年月日: 昭和38年5月21日 / 結論: 棄却
手形法第一六条第一項にいう裏書の連続は、その形式によりこれを判定すれば足り、裏書が真正なものかどうかは問うところではない。