判旨
白地手形の補充権が行使され、振出日が適法に補充された場合、その補充後の日付を基準として手形債権の消滅時効を判断すべきである。また、時効の抗弁は事実審の口頭弁論終結時までに主張されない限り、裁判所はこれを考慮することはできない。
問題の所在(論点)
白地手形の振出日が後日補充された場合の時効起算点の判断、および事実審で主張されなかった消滅時効の抗弁を上告審で考慮することの可否が問題となる。
規範
1. 白地手形における振出日の補充がなされた場合、その補充は有効であり、補充された日付に従って手形上の権利関係が確定する。2. 消滅時効の抗弁は、当事者が事実審(第一審または控訴審)の最終の口頭弁論期日までに主張しなければならない。
重要事実
上告人(振出人)は、被上告人(受取人)に対し、振出日が白地の状態で本件各約束手形を交付した。その後、当該振出日の白地部分は適法に補充記入された。上告人は、手形債権の消滅時効を主張したが、この時効の抗弁は原審(控訴審)の最終口頭弁論期日までには提出されていなかった。
あてはめ
本件では、各約束手形の振出日の白地部分は適法に補充記入されているため、その補充された日付に基づき手形債権が発生・存続していると解される。また、記録によれば上告人は消滅時効の抗弁を原審の最終口頭弁論期日までに主張していない。弁論主義の原則に基づき、適時に主張されなかった時効の抗弁は、裁判所が判断の基礎とすることはできない。
結論
本件手形の振出日の補充は正当であり、かつ時効の抗弁は原審までに提出されていないため、上告人の主張は採用できず、上告を棄却する。
実務上の射程
白地手形の補充の効力に関する基本判例であるとともに、民事訴訟法上の適時提出主義および弁論主義の観点から、時効の抗弁の提出時期の限界を示すものである。司法試験においては、手形法上の白地手形の論点と、民訴法上の主張時期の制限を絡めた問題での参照が想定される。
事件番号: 昭和33(オ)722 / 裁判年月日: 昭和35年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】手形所持人は、裏書の抹消等により裏書の連続を欠き形式的資格を有しない場合であっても、実質的権利を有することを証明すれば手形上の権利を行使できる。また、裁判所が主要事実(受戻し)の認定において、主張された日時と異なる日時を認定しても弁論主義には反しない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、D社か…