満期白地の手形の補充権は、五年の時効によつて消滅する。
満期白地の手形の補充権の消滅時効期間
商法522条,手形法10条,手形法77条1項8号,手形法70条1項
判旨
満期白地手形の補充権の消滅時効期間は、商法522条を準用し、これを行使し得るときから5年と解するのが相当である。
問題の所在(論点)
手形法上の要件が欠けている白地手形において、受取人が有する白地補充権の消滅時効期間は何年か。手形法70条1項の3年か、あるいは商事債権としての5年かが論点となる。
規範
満期白地手形における白地補充権は、商法522条(商事消滅時効、現行商法522条は削除され民法に統合されているが、本判例の規範としては商事時効を指す)の規定が準用され、これを行使し得るときから5年の経過によって時効により消滅する。
重要事実
上告人は、満期が白地となっている手形を所持していたが、長期間補充権を行使していなかった。当該補充権が時効により消滅しているか否か、およびその期間が問題となった事案である。原審は補充権の時効期間を5年と判断し、上告を棄却したため、上告人が最高裁に判断を仰いだ。
あてはめ
最高裁は、白地補充権の授与行為は本来の手形行為ではないが、商法501条4号所定の「手形に関する行為」に準ずるものと解した。そして、補充権の行使は手形債権発生の要件をなすが、手形債権そのものの消滅時効(3年)の規定を直接適用するのではなく、商行為によって生じた債権に関する原則的な時効期間を定める商法522条を準用するのが相当であると判断した。
結論
満期白地手形の補充権は、行使可能となった時から5年で時効消滅する。本件上告は棄却された。
実務上の射程
白地補充権の時効は5年である一方、補充後の手形債権の時効は3年(手形法70条1項)となる点に注意が必要である。なお、民法改正により商事時効(5年)が廃止されたが、補充権は形成権であり、その行使期間は改正後の一般債権の消滅時効(民法166条1項)と同様に解される実務への影響がある。
事件番号: 平成3(オ)1715 / 裁判年月日: 平成5年7月20日 / 結論: 破棄差戻
満期及びその他の手形要件を白地として振り出された手形の満期が補充された場合は、右手形のその他の手形要件の白地補充権は、手形上の権利と別個独立に時効によって消滅することなく、手形上の権利が消滅しない限りこれを行使することができる。