判旨
行政庁の合議制機関の委員が、自己または親族等の利害に関係する議案の審議・決決に参与することは、特段の規定がある場合、手続上の違法事由となり得るため、裁判所は審理を尽くすべきである。また、議事録の欠如は直ちに行政処分の無効・違法を導くものではない。
問題の所在(論点)
合議制機関の委員が自己の親族に関する事項の決議に参与した場合、その決議は違法となるか。また、議事録の不存在は決議の効力に影響を及ぼすか。
規範
合議制機関における委員の除斥事由(農地調整法15条の24等)に該当する場合、当該委員が議事に参与することは、特段の事情がない限り、当該決議及びそれに基づく行政処分の手続的適法性を欠く事由となる。一方で、議事録は議事に関する証明文書に過ぎず、その不存在のみをもって直ちに当該決議の内容が違法・無効となるものではない。
重要事実
農地委員会の委員Eの子であるDに対し、本件農地の売渡計画が立てられた。この計画は、地元委員であるE及びFの調査に基づき、農地委員会の決議を経て決定されたものである。上告人は、Dが委員Eの子であることや、Eが委員会から立案を一任されていた事実を挙げ、決議の不当・不法を主張したが、原審は議事録の不存在等は違法でないとして、Eの参与の有無を十分に審理せずに適法と判断した。
あてはめ
当時の農地調整法は、委員が自己や同居の親族に関する事件の議事に参与することを禁じている。本件では、売渡の相手方Dが委員Eの子であることから、Eが議事に参与していれば、Dに関する部分の決議は違法となる蓋然性が高い。原審は、Eが実際に決議に参与したか否か、またその参与が決議の効力にどう影響するかを審理していない。他方、議事録の不存在については、それが直ちに議事の違法を証明するものではないとする原審の判断は正当である。
結論
委員Eの参与の有無について審理不尽、理由不備の違法があるため、Dに対する売渡計画に関する部分は破棄差戻し。議事録の不存在等を理由とするその余の上告は棄却。
実務上の射程
行政手続における公正性を確保するための「除斥」の重要性を示す。答案では、合議制機関の意思決定プロセスにおいて、構成員に利害関係がある場合の「手続の瑕疵」を論じる際の根拠として活用できる。また、書面(議事録)の欠如という形式的瑕疵のみでは実体的な効力を直ちに否定できないとする実務的指針も示している。
事件番号: 昭和31(オ)2 / 裁判年月日: 昭和31年4月24日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和26(オ)660 / 裁判年月日: 昭和28年3月12日 / 結論: 棄却
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