判旨
最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が憲法違反を主張するものであっても、実質が単なる法令違反にすぎず、法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
憲法違反を形式的に主張する上告理由が、実質的に単なる法令違反の主張にすぎない場合に、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律上の適法な上告理由として認められるか。
規範
上告理由が形式的に憲法違反を主張するものであっても、その実質が単なる法令違反の主張にとどまる場合、あるいは「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」1号ないし3号のいずれにも該当せず、かつ「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められないときは、適法な上告理由として認められない。
重要事実
上告人は、原判決に対して憲法違反を理由として上告を申し立てた。しかし、その主張の内容は、形式的には憲法違反を装っているものの、具体的な法適用の誤りを指摘する性質のものであった。
あてはめ
本件の上告理由は憲法違反を云々しているが、その実質は単なる法令違反の主張にすぎない。また、本件は特例法1号ないし3号のいずれの要件も充足しておらず、特段の「法令の解釈に関する重要な主張」を見出すこともできない。したがって、実質的な上告理由を欠くものと判断される。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くため棄却される。
実務上の射程
本判決は、最高裁への上告において憲法違反を主張する際の形式的・実質的要件を厳格に解釈する実務上の運用を示すものである。答案上は、民事訴訟法における上告受理申立てや上告理由の峻別を論ずる際、実質的な違憲主張がない場合に最高裁が裁量的に関与しない根拠として引用し得る。
事件番号: 昭和29(テ)9 / 裁判年月日: 昭和30年12月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が憲法違反の主張とは認められず、単に原判決を非難するにすぎない場合は、民事訴訟法(旧法)所定の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対して憲法違反を主張して上告を提起した。しかし、その具体的な主張内容は、原判決の判断を非難することに帰着するものであった。 第2 問題の…
事件番号: 昭和27(オ)1059 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が実質的に法令違反や事実認定の不当を主張するものに過ぎず、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告事由に該当しないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における憲法違反等を主張して上告を提起した。また、原審の口頭弁論に関与した裁判官の署名捺印の有無に…
事件番号: 昭和29(オ)471 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告の理由が原審の証拠取捨や事実認定の非難に帰する場合、民事上告事件の審判の特例に関する事項に該当せず、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)における証拠の取捨判断および事実認定に誤りがあるとして最高裁判所に上告を提起した。 第2 問題の所在(論点):原審における…
事件番号: 昭和26(オ)311 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、憲法違反の主張が実質的に同法1号から3号の事由に該当せず、法令解釈に関する重要な主張も含まない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は原審の判決に対し、憲法違反を主張して最高裁判所へ上告を提起した。しかし、その主張…
事件番号: 昭和27(オ)609 / 裁判年月日: 昭和30年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件において、上告理由が特例法に定める上告理由のいずれにも該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地が特別都市計画区域外の土地であると主張し、自身の賃借申出が有効であるとして争った。しかし、原審(および前審の…