判旨
上告の理由が原審の証拠取捨や事実認定の非難に帰する場合、民事上告事件の審判の特例に関する事項に該当せず、適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
原審における証拠の取捨選択や事実認定を非難する主張が、民事上告の特例法に定める適法な上告理由、特に「法令の解釈に関する重要な主張」に該当するか。
規範
「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」に基づき、上告が適法とされるためには、同法1号から3号のいずれかに該当するか、または「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものでなければならない。単なる証拠の取捨選択や事実認定の不当を主張するのみでは、これらの要件を充たさない。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)における証拠の取捨判断および事実認定に誤りがあるとして最高裁判所に上告を提起した。
あてはめ
上告人の主張は、原審が行った証拠の取捨判断および事実認定を非難する内容にとどまるものである。これは、特例法1号乃至3号の事由に該当せず、かつ、法令の解釈に関する重要な事項を含むものとも認められないため、上告の適法性を欠くというべきである。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
最高裁への上告において、単なる事実誤認や証拠評価の不当を争うことは、特例法上の適法な理由にならないことを示す。司法試験の実務・手続法上の論点として、上告理由の限定性を説明する際に用いる。
事件番号: 昭和31(オ)289 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を非難するものにすぎない場合、民事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らが原審の事実認定を不服として上告を提起したが、上告理由の内容は、原審の証拠評価や事実認定のプロセスに対する非難を主とするものであった。 第2 問題の所在(論点):事実…
事件番号: 昭和29(オ)128 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、単なる訴訟法違反や事実誤認の主張は上告理由に該当せず、法令解釈に関する重要な主張も含まれない場合は上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した上告について、その論旨が単なる訴訟法違反および事実誤認の主張にとどまるもので…
事件番号: 昭和26(オ)747 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原判決の事実認定に沿わない独自の事実を前提として憲法違反を主張することは、上告の適法な理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が認定した事実とは異なる事実を想定し、その想定事実に基づいて憲法違反(違憲)を主張して上告を提起した。 第2 問題の所在(論点):原判決の事実…
事件番号: 昭和29(テ)9 / 裁判年月日: 昭和30年12月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が憲法違反の主張とは認められず、単に原判決を非難するにすぎない場合は、民事訴訟法(旧法)所定の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対して憲法違反を主張して上告を提起した。しかし、その具体的な主張内容は、原判決の判断を非難することに帰着するものであった。 第2 問題の…
事件番号: 昭和26(オ)70 / 裁判年月日: 昭和27年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件において、上告理由が審判の特例に関する法律の各号に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した民事上告事件において、上告理由として主張された内容が、大審院昭和15年10月15日判決等の先例に照らしても適切では…