判旨
上告審において、原判決の事実認定に沿わない独自の事実を前提として憲法違反を主張することは、上告の適法な理由とはならない。
問題の所在(論点)
原判決の事実認定を争う内容を、事実上、憲法違反の問題として主張することが適法な上告理由となり得るか。
規範
上告審における違憲の主張は、原判決が確定した事実を前提として行われなければならない。原判決の認定と異なる事実を仮定し、それを前提として違憲をいうことは、事実上の争いを憲法問題にすり替えるものであり、適法な上告理由には当たらない。
重要事実
上告人は、原判決が認定した事実とは異なる事実を想定し、その想定事実に基づいて憲法違反(違憲)を主張して上告を提起した。
あてはめ
上告人が主張する論旨は、原判決が確定した事実認定に副わない独自の事実を前提としている。このような主張は、上告審の対象となる原判決の判断そのものに対する憲法上の評価を問うものではなく、前提となる事実認識において原判決と乖離しているため、判断の前提を欠いているといえる。
結論
本件上告は理由がなく、棄却されるべきである。
実務上の射程
司法試験の答案において、上告理由の適格性や上告審の事後審的性格を論じる際、事実認定の不当を違憲主張にすり替えることの不当性を指摘する論拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)644 / 裁判年月日: 昭和27年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地権の譲受や使用貸借契約の成立といった事実認定の不当を憲法違反として主張することは、実質的に事実認定を争うものにすぎず、適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、本件宅地の借地権を被上告人から譲り受けた事実、または被上告人から建物所有目的で期間の定めなく無償で使用することを許諾さ…
事件番号: 昭和31(オ)967 / 裁判年月日: 昭和32年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を争うにすぎない場合、原判決に影響を及ぼす明らかな法令の違背があるとは認められないため、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人らが原審による事実認定の不当を主張して上告を提起したが、その主張は原審の適法な事実認定を争うにとどまるものであった。 第2 問題の所在(…
事件番号: 昭和26(オ)70 / 裁判年月日: 昭和27年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件において、上告理由が審判の特例に関する法律の各号に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した民事上告事件において、上告理由として主張された内容が、大審院昭和15年10月15日判決等の先例に照らしても適切では…
事件番号: 昭和31(オ)289 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を非難するものにすぎない場合、民事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らが原審の事実認定を不服として上告を提起したが、上告理由の内容は、原審の証拠評価や事実認定のプロセスに対する非難を主とするものであった。 第2 問題の所在(論点):事実…