判決の事実摘示として証拠関係の記載を欠いたとしても、判決に影響を及ぼすべき違法があるとは認められない。
判決の事実摘示として証拠関係の記載を欠いた場合に判決に影響を及ぼす違法がないとされた事例
民訴法191条
判旨
判決に影響を及ぼさない事実摘示の欠缺は適法な上告理由にならず、原審の専権に属する証拠の取捨判断及び事実認定を非難する主張は採用できない。
問題の所在(論点)
1. 原判決における証拠関係の記載の欠欠が、判決に影響を及ぼす違法として上告理由(民事訴訟法旧401条、現312条等)にあたるか。 2. 事実認定の不当を理由とする主張が適法な上告理由となるか。
規範
1. 判決に影響を及ぼさない形式的な事実摘示の不備は、適法な上告理由とならない。 2. 証拠の取捨選択および事実の認定は、原審の専権事項であり、特段の違法が認められない限り上告審でこれを争うことはできない。
重要事実
上告人は、原判決の事実摘示において特定の証拠関係の記載が欠けている点、および原審の事実認定の過程に違法がある点等を理由として上告を申し立てた。
あてはめ
事件番号: 昭和26(オ)747 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原判決の事実認定に沿わない独自の事実を前提として憲法違反を主張することは、上告の適法な理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が認定した事実とは異なる事実を想定し、その想定事実に基づいて憲法違反(違憲)を主張して上告を提起した。 第2 問題の所在(論点):原判決の事実…
1. 原判決において証拠関係の記載を欠いていたとしても、本件記録および説示に照らせば、それが結論に影響を及ぼしているとは認められない。したがって、適法な上告理由にはあたらない。 2. 原審の認定判断は証拠関係に照らして正当として是認でき、その過程に違法は見られない。上告人の主張は実質的に、原審の専権に属する証拠の取捨選択や事実認定を非難するものにとどまる。
結論
本件上告を棄却する。原判決に判決に影響を及ぼすような違法はなく、事実認定に関する不服も適法な上告理由とはならない。
実務上の射程
民事訴訟における上告審の機能が法律審であることを示す典型例である。事実認定の不当を争う主張や、結論に影響しない些末な手続上の不備を指摘する主張は、上告理由として排斥される。実務上は、憲法違反や重大な訴訟手続の違法(判決に影響を及ぼすことが明らかなもの)に絞って論じる必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和28(オ)633 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が更正決定によるべき事項や事実認定の非難にすぎず、法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の不服を申し立てて上告したが、その主張内容は更正決定によって解決されるべき事項、または原審の事実認定を非難するものであった。 第2 問題の所在…
事件番号: 昭和31(オ)289 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を非難するものにすぎない場合、民事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人らが原審の事実認定を不服として上告を提起したが、上告理由の内容は、原審の証拠評価や事実認定のプロセスに対する非難を主とするものであった。 第2 問題の所在(論点):事実…
事件番号: 昭和30(オ)39 / 裁判年月日: 昭和31年2月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審で提出された準備書面の内容が判決の事実摘示から漏れていたとしても、控訴審で異議を述べず、第一審判決の事実摘示通りに陳述した場合には、当該事項は控訴審の判断対象とならない。 第1 事案の概要:上告人は、第一審においてある準備書面を提出し陳述したが、第一審判決の「事実」欄にはその記載が漏れていた…
事件番号: 昭和31(オ)967 / 裁判年月日: 昭和32年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の適法な事実認定を争うにすぎない場合、原判決に影響を及ぼす明らかな法令の違背があるとは認められないため、上告は棄却される。 第1 事案の概要:上告人らが原審による事実認定の不当を主張して上告を提起したが、その主張は原審の適法な事実認定を争うにとどまるものであった。 第2 問題の所在(…