判旨
借地権の譲受や使用貸借契約の成立といった事実認定の不当を憲法違反として主張することは、実質的に事実認定を争うものにすぎず、適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
事実認定の誤りを憲法違反として主張することが、民事訴訟における適法な上告理由(上告受理の要件を含む)となるか。
規範
最高裁判所に対する上告において、原審の事実認定の不当を理由とする主張は、それが憲法違反という形式をとっていても、実質的に原審の適法な事実認定を争うものである限り、有効な上告理由とは認められない。
重要事実
上告人は、本件宅地の借地権を被上告人から譲り受けた事実、または被上告人から建物所有目的で期間の定めなく無償で使用することを許諾された(使用貸借)事実を主張した。しかし、原審はこれらの事実をいずれも認められないと認定したため、上告人はこれが憲法違反にあたると主張して上告した。
あてはめ
上告人は原判決が借地権譲受や使用貸借の成立を否定したことを憲法違反と主張するが、判決文によれば原審は証拠に基づき当該事実を認めることができないと明確に判断している。この主張は結局のところ、原審が行った証拠評価および事実認定の妥当性を争うものであり、憲法条項に直接抵触する問題を提起するものではない。したがって、憲法違反という名を借りた事実誤認の主張にすぎないと判断される。
結論
本件上告は棄却される。原審の事実認定を争う主張は、憲法違反や法令解釈に関する重要な主張には該当しない。
実務上の射程
民事訴訟における事実認定は後順位の事実審の専権事項であり、法律審である最高裁において、事実認定の不服を憲法違反に擬して主張する手法を排斥する実務上の基本姿勢を示すものである。
事件番号: 昭和26(オ)747 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原判決の事実認定に沿わない独自の事実を前提として憲法違反を主張することは、上告の適法な理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が認定した事実とは異なる事実を想定し、その想定事実に基づいて憲法違反(違憲)を主張して上告を提起した。 第2 問題の所在(論点):原判決の事実…
事件番号: 昭和26(オ)234 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件上告は、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張も含まないため、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:上告人等は、原判決を不服として最高裁判所に上告を提起した。しかし、その上告理由の内容は、上告特例法に定められた具体的な上告事由を充足す…
事件番号: 昭和33(オ)345 / 裁判年月日: 昭和34年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原審で主張していなかった新たな事実上の主張を基礎として原判決の違法をいうことは、民事訴訟の手続上許されない。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、被上告人(賃貸人)からなされた月額5,000円の延滞賃料の催告に基づく契約解除を争っていた。上告人は、上告審において、当該催告より以前…
事件番号: 昭和27(オ)1059 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が実質的に法令違反や事実認定の不当を主張するものに過ぎず、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告事由に該当しないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における憲法違反等を主張して上告を提起した。また、原審の口頭弁論に関与した裁判官の署名捺印の有無に…