判旨
上告状が管轄違いの裁判所に提出された場合であっても、直ちに却下すべきではなく、民事訴訟法の規定に基づき、適法な受訴裁判所へ移送すべきである。
問題の所在(論点)
上告状を法律(旧民訴法397条、現行法314条1項)に反して原裁判所ではなく直接上告裁判所に提出した場合、当該不備を理由に直ちに却下すべきか、あるいは移送等の救済措置を講じるべきかが問題となる。
規範
上告状の提出先は民事訴訟法(旧法397条、現法314条1項)により原裁判所と定められているが、誤って上告裁判所に提出された場合には、管轄違いとして、適法な原裁判所へ移送する措置を講じるべきである。
重要事実
上告人は、東京地方裁判所が言い渡した約束手形金請求事件の控訴審判決に対し、不服を申し立てるため、昭和29年8月4日に最高裁判所へ直接上告状を提出した。
あてはめ
本件の上告状は、民事訴訟法397条(旧法)の規定に反し、原裁判所ではなく最高裁判所に提出されている。しかし、裁判所は誤った窓口に提出された書面を直ちに排斥するのではなく、適切な手続に供するため、管轄を有する東京地方裁判所へ送付(移送)するのが相当である。
結論
本件を適法な提出先である東京地方裁判所に移送する。
実務上の射程
上告状の提出先誤りという形式的不備に対し、裁判所の移送義務(または職権による移送)を認めた事例である。民事訴訟法上の「管轄違いによる移送」の法理を、上告提起の手続的瑕疵の是正に応用する際の根拠となり得る。
事件番号: 昭和29(オ)826 / 裁判年月日: 昭和29年11月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告状が管轄裁判所ではない上告裁判所に直接提出された場合、当該裁判所は、民事訴訟法に基づき、事案を本来の提出先である原裁判所に移送すべきである。 第1 事案の概要:当事者間の貸金請求事件について、東京高等裁判所が判決を言い渡した。これに対し、上告人が最高裁判所に上告状を提出したが、この上告状は本来…