判旨
上告状が管轄裁判所ではない上告裁判所に直接提出された場合、当該裁判所は、民事訴訟法に基づき、事案を本来の提出先である原裁判所に移送すべきである。
問題の所在(論点)
上告状が、提出先として定められた原裁判所ではなく、誤って上告裁判所(最高裁判所)に直接提出された場合に、上告裁判所がいかなる措置を講じるべきかが問題となる。
規範
上告状の提出先は法律(旧民事訴訟法397条1項、現行314条1項)により原裁判所と定められている。管轄違いの裁判所に上告状が提出された場合、裁判所は管轄権がないものとして、適法な受訴裁判所へ事件を移送しなければならない。
重要事実
当事者間の貸金請求事件について、東京高等裁判所が判決を言い渡した。これに対し、上告人が最高裁判所に上告状を提出したが、この上告状は本来、原裁判所である東京高等裁判所に提出すべきものであった。
あてはめ
本件において、上告人は最高裁判所に直接上告状を提出している。しかし、民事訴訟法の規定によれば、上告状は原裁判所に提出すべきものである。したがって、最高裁判所には本件上告を受理する適法な窓口としての管轄が認められないため、同法に基づき、本来の提出先である東京高等裁判所に事件を移送するのが相当である。
結論
本件上告状の提出は提出先を誤ったものであるため、本件を原裁判所である東京高等裁判所に移送する。
実務上の射程
上告提起の方式(提出先)を誤った場合であっても、直ちに却下するのではなく、移送によって救済されることを示す。実務上、上告期間内に原裁判所に到達させる必要があるが、誤って上告裁判所に提出された際の処理を明確にしている。
事件番号: 昭和29(オ)784 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告状が誤って上告裁判所に直接提出された場合、当該裁判所は民事訴訟法上の規定に基づき、本来の提出先である原裁判所に事件を移送すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、東京高等裁判所が昭和29年8月5日に言い渡した確定債務請求事件の判決に対し、不服を申し立てるべく上告状を作成した。しかし、上告人は…