判旨
旧会計規則85条(現在の会計法に相当)は、国が契約を締結する際、契約書の作成を契約の成立要件(要式性)として定めたものではない。
問題の所在(論点)
旧会計規則85条(現行の会計法上の契約書作成義務に相当)の規定は、国が当事者となる契約において、契約書の作成を契約の成立要件として規定したものか。
規範
国との契約において、会計規則(現・会計法)等が契約書の作成を規定している場合であっても、特段の事情がない限り、それは契約の成立要件(要式行為)を定めたものではなく、契約自体は当事者の合意によって成立する。
重要事実
上告人と国との間で土地の接収・利用等に関する契約上の争いが生じた。上告人は、契約書の作成がなされていないことを根拠に、旧会計規則85条に照らして契約の不成立または無効を主張した。
あてはめ
旧会計規則85条の趣旨は、国費の適正な執行や事務の明確化を図るための内部的な訓示規定または証拠上の便宜を目的とするものと解される。したがって、書面の作成がなされていないからといって、直ちに契約が不成立または無効になると解することはできない。本件においても、原審が認定した事実関係に基づき、書面作成の有無にかかわらず合意により契約が有効に成立したとする判断は正当である。
結論
旧会計規則85条は契約書の作成を契約の成立要件としたものではないため、書面がなくても契約は有効に成立する。
実務上の射程
行政法における「契約の成立時期」や「要式性の有無」が問われる場面で、行政上の手続規定が私法上の効力(成立要件)にまで影響を及ぼさないことを示す判例として活用できる。
事件番号: 昭和38(オ)1332 / 裁判年月日: 昭和40年7月22日 / 結論: 棄却
農地の権利移転についての知事の許可書の内容が不当に改ざんされたからといつて、一たん発生した許可処分の効力に何らの消長をもきたさない。
事件番号: 昭和39(オ)82 / 裁判年月日: 昭和39年11月19日 / 結論: その他
一 自作農創設特別措置法第三条に基づく農地の買収処分により国が所有権を取得した場合において、その所有権の取得については、民法第一七七条の適用がある。 二 自作農創設特別措置法第一一条は、農地の買収計画の樹立以降買収の効果発生までに権利関係の変動があつた場合において、その農地の所有者などの承継人に対してのみ農地の買収手続…
事件番号: 昭和27(オ)639 / 裁判年月日: 昭和29年10月8日 / 結論: 棄却
村農地委員会が、はじめ売渡の相手方を甲と定めた農地売渡計画を樹立し、公告縦覧の手続を践み、県農地委員会の承認を受けた後、売渡の相手方を乙に変更する旨の議決をなしてその旨甲および乙に通知し、次いで知事から乙に対し売渡通知書を交付した場合においては、乙に対する農地の売渡処分は当然無効と認むべきである。
事件番号: 昭和49(オ)669 / 裁判年月日: 昭和51年8月30日 / 結論: 棄却
買受人が当初から宅地化する意図のもとに農地を買い受けたのち、間もなくこれを宅地化しても、右農地の所有権移転につき農地法三条の許可が不要となるものではない。
事件番号: 昭和26(オ)840 / 裁判年月日: 昭和29年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産登記の記載が取得原因において事実と異なっていたとしても、現在の権利関係に合致している限り、その登記の抹消を請求することはできない。 第1 事案の概要:亡Dは、隠居前に本件不動産を被上告人に対して贈与した。しかし、本件不動産に関する登記上の取得原因は、この贈与という事実とは異なる内容で記載され…