判旨
忌避申立てを受けた裁判官が、その裁判の確定前に行った判決は、後に当該申立てが理由なしとして棄却され確定した場合には、有効なものとなる。
問題の所在(論点)
裁判官に対する忌避申立てがなされた場合、民事訴訟法26条本文により原則として訴訟手続を中止しなければならないが、これに違反して忌避申立ての裁判確定前になされた判決の効力はどうなるか。
規範
民事訴訟法26条が忌避申立てによる訴訟手続の中止を規定する趣旨は、裁判の公正を確保する点にある。したがって、中止すべき期間中になされた裁判官の行為は、後に忌避申立てを却下する決定が確定した場合には、当該行為の効力を否定すべき実質的な理由がなくなるため、遡及的に有効となる。
重要事実
上告人らは、裁判官に対して忌避の申立てを行ったが、当該裁判官は忌避申立てについての裁判が確定する前に本件判決を下した。その後、当該忌避申立ては理由がないものとして排斥され、その決定が確定した。上告人らは、忌避申立て中の判決は無効である旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において、忌避申立てを受けた裁判官は、手続中止の規定に反して判決を言い渡している。しかし、当該忌避申立ては後に理由なしとして排斥されており、結果として当該裁判官に職務執行を妨げるべき事情は存在しなかったことが確定している。そうであれば、不公正な裁判が行われるおそれは客観的に否定されたといえ、手続違反の瑕疵は治癒されると解するのが相当である。
結論
忌避申立てが理由なしとして確定した以上、その確定前になされた判決は有効である。
実務上の射程
手続中止規定(民訴法26条)違反の効力に関するリーディングケースである。答案上は、手続違背の瑕疵が後の申立棄却により治癒されるという論理構成で用いる。ただし、忌避申立てが認容された場合には当然に無効(絶対的上告理由)となる点に注意が必要である。
事件番号: 昭和26(オ)649 / 裁判年月日: 昭和28年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事情変更による仮処分命令の取消しにおいて、裁判所が申立人の主張しない事由についても判断を加えたとしても、結論として仮処分決定後に生じた特別の事情変更に基づき一部を取り消したに過ぎない場合は、違法とはならない。 第1 事案の概要:本件は、仮処分決定に対し、事情変更を理由とする仮処分命令の取消しが申し…