判旨
損害賠償義務が認められるためには、当該滅失が債務者の責めに帰すべき事由によることについての証拠判断が必要であり、これがないまま賠償を命じることは法令違背にあたる。
問題の所在(論点)
目的物の滅失に基づく損害賠償を命じるにあたり、被告の帰責事由に関する証拠判断を欠いたまま賠償義務を認めることができるか。
規範
債務不履行または不法行為に基づく損害賠償責任が認められるためには、義務違反行為と損害との間の因果関係のみならず、その滅失が義務者の責に帰すべき事由(帰責事由)によるものであることが必要である。
重要事実
原告は、被告が原告の意に反してマオラン麻を引き抜き、または滅失させた場合には損害を賠償する義務がある旨を主張した。原審は、マオラン麻の除去(引き抜き)による損害賠償を命じたのではなく、その滅失の責任を被告に負担させた。しかし、原審は当該滅失が被告の責めに帰すべき事由によることについて、具体的な証拠に基づく判断を示さなかった。
あてはめ
原判決は、被告に対してマオラン麻の滅失による損害賠償を命じているが、その前提となる滅失が「被告の責によること」についての証拠判断を何ら示していない。損害の発生と義務の存在を肯定しながら、その義務違反の本質である帰責事由の有無を審理しないことは、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背といえる。
結論
被告に金員の支払を命じた原判決の部分を破棄し、帰責事由の有無等についてさらに審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
損害賠償請求において、帰責事由(過失を含む)の存在を認定するための事実認定・証拠判断が不可欠であることを再確認するものである。答案上は、債務不履行(民法415条)や不法行為(709条)の要件充足性を検討する際、結果の発生だけでなく、その過程における義務者の帰責性の認定を懈怠してはならないという基本原則として機能する。
事件番号: 昭和29(オ)585 / 裁判年月日: 昭和32年6月13日 / 結論: 棄却
現にマオラン麻の栽培がなされている土地であつても、その土地が、埋立工事によつて工場敷地に造成し周囲に塀をめぐらし、その中に工場を建設して工場経営をしている土地の一部休閑地であつて、客観的に工場用地としての要件を具備し本来工場経営のため使用する目的が明らかな土地である場合には、農地調整法(昭和二〇年法律第六四号による改正…
事件番号: 昭和28(オ)931 / 裁判年月日: 昭和30年9月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特定の土地が旧農地調整法上の「農地」に該当するか否かは、土地取得の動機、目的、将来の用途、沿革など、主観的および客観的諸般の事情を総合して判定すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、本件係争土地について旧農地調整法上の農地であることを前提に、賃貸借の承継等を主張した。原審は、当該土地の取得目的…
事件番号: 昭和37(オ)567 / 裁判年月日: 昭和39年6月26日 / 結論: その他
ある地域を所有することを前提とし、同地域上に生立する立木の不法伐採を理由とする損害賠償の請求の当否を判断するに当り、当該地域の一部のみが請求者の所有に属するとの心証を得た以上、さらにその一部に生立する立木で伐採されたものの数量、価格等について審理すべきことは当然であり、この際右の点について、従来の証拠のほかに、さらにあ…
事件番号: 昭和39(オ)1020 / 裁判年月日: 昭和42年9月26日 / 結論: その他
農地の使用貸借ないし転借にもとづく権利は、昭和二一年一一月二二日以降の分については、地方長官の許可または農業委員会の承認もしくは農地委員会の許可をえなければその効力を生じないから、その成立時期を明確にして、その効力を判定すべきである。