判旨
特定の土地が旧農地調整法上の「農地」に該当するか否かは、土地取得の動機、目的、将来の用途、沿革など、主観的および客観的諸般の事情を総合して判定すべきである。
問題の所在(論点)
旧農地調整法2条にいう「農地」の該当性を判断するにあたっての基準、および土地取得の目的等の主観的事項を考慮に含めることの是非が問題となった。
規範
特定の土地が農地調整法2条にいう「農地」に該当するか否かの判断にあたっては、形式的な現況のみならず、当該土地取得の動機、目的、将来の用途といった主観的要素に加え、土地の沿革などの客観的事情を総合して判定すべきである。
重要事実
上告人は、本件係争土地について旧農地調整法上の農地であることを前提に、賃貸借の承継等を主張した。原審は、当該土地の取得目的や将来の用途、沿革等の諸事情を認定した上で、本件土地は同法上の農地に該当しないと判断した。これに対し、上告人が判断の違法を訴えて上告したものである。
あてはめ
本件において、原審は土地取得の動機や将来の用途、土地の沿革といった各種の事情を認定しており、これらの主観的・客観的諸般の事情を総合的に考慮して農地該当性を否定している。このような判断枠組みは、農地調整法の趣旨に照らして適法であり、本件の事実関係の下では妥当であると解される。
結論
特定の土地が農地に該当するかは主観的・客観的事項を総合考慮して決すべきであり、本件土地を農地でないとした原判決に違法はない。
実務上の射程
農地法上の「農地」概念についても、現況(客観的側面)を重視しつつも、耕作の目的や経緯といった主観的・沿革的要素を補助的に考慮する実務の基礎となる判例である。土地の現況が境界上にある場合や、一時的な休耕・転用予定がある場合の認定手法として援用できる。
事件番号: 昭和29(オ)585 / 裁判年月日: 昭和32年6月13日 / 結論: 棄却
現にマオラン麻の栽培がなされている土地であつても、その土地が、埋立工事によつて工場敷地に造成し周囲に塀をめぐらし、その中に工場を建設して工場経営をしている土地の一部休閑地であつて、客観的に工場用地としての要件を具備し本来工場経営のため使用する目的が明らかな土地である場合には、農地調整法(昭和二〇年法律第六四号による改正…
事件番号: 昭和29(オ)586 / 裁判年月日: 昭和32年6月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】損害賠償義務が認められるためには、当該滅失が債務者の責めに帰すべき事由によることについての証拠判断が必要であり、これがないまま賠償を命じることは法令違背にあたる。 第1 事案の概要:原告は、被告が原告の意に反してマオラン麻を引き抜き、または滅失させた場合には損害を賠償する義務がある旨を主張した。原…
事件番号: 昭和31(オ)48 / 裁判年月日: 昭和33年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法2条2項にいう「耕作の業務を営む」とは、営利の目的を必要とせず、自家用農産物を栽培する場合も含まれる。 第1 事案の概要:上告人は本件農地の所有者であったが、訴外Dが上告人から本件農地を借り受けて耕作していた。DおよびEは、販売目的ではなく自家用農産物の栽培を目的として本件農地…
事件番号: 昭和30(オ)677 / 裁判年月日: 昭和33年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の賃貸借において、旧農地調整法9条2項に基づき「従前の賃貸借と同一の条件」で更新されたとみなされる場合、更新後の条件には賃料前払の特約は含まれない。また、更新拒絶後の事情は信義則違反の判断において必ずしも考慮されるものではない。 第1 事案の概要:上告人(賃貸人)と被上告人(賃借人)は、昭和1…